2018年 ホロコースト・メモリアル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 20:06 UTC 版)
「吉野美奈子」の記事における「2018年 ホロコースト・メモリアル」の解説
パブリックアートの設置現場で様々な疑問を抱いていた吉野は、ハーバード大学で都市デザインを学び、米国ナチュラルストーン・インスティチュート で建築・芸術石材の専門知識を学び、それらのすべてを投入して、2018年6月、ニュージャージー州のイングルウッドにあるシナコーグ敷地内に、ホロコーストメモリアル彫刻庭園を完成させた。非ユダヤ人である吉野は「可能なかぎり彼らの心に寄り添いたい」と考え、何百ページもの関連文献を読み、ワシントンDCにあるホロコースト記念博物館にも出かけた。犠牲となった150万人ともいわれる子ども達の実態を知り「写真が脳裏から離れずとても辛かった」と語っている。歴史の悲惨さを後世に伝える決意を確固としてプロジェクトに関わり始めた2015年より、庭園完成までには3年もの年月が要された。 庭園内で、メモリアル彫刻『歴史の本を読む子ども達』が座るのは、ダビデの星をデザインしたベンチの中央部分で、素材には彫刻と同じブルーストーンが用いられた。子ども達の読む本には一言だけ「REMEMBER(忘れない)」と刻まれており、本の中央には小さなガーネットが埋められた。それはかつて6000人のユダヤ人を救ったと言われる杉原千畝の孫、杉原千弘 から提供されたもので、このガーネットを吉野は「平和な世界の種」と呼んでいる。 除幕式の挨拶では、自らが彫り上げた『歴史の本を読む子ども達』の前で、「歴史を学び、どうしたら平和な世界を築けるのか、みんなで一緒に考えていきましょう」と呼びかけた。この彫刻記念庭園は、非ユダヤ人アーティストが手がけた世界でも珍しいホロコーストメモリアルであり、「芸術によって言葉・国籍・人種・宗教の垣根を超越したい」と願う吉野芸術の本質に迫る作品と言える。
※この「2018年 ホロコースト・メモリアル」の解説は、「吉野美奈子」の解説の一部です。
「2018年 ホロコースト・メモリアル」を含む「吉野美奈子」の記事については、「吉野美奈子」の概要を参照ください。
- 2018年 ホロコースト・メモリアルのページへのリンク