111号艦とは? わかりやすく解説

111号艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/09 15:04 UTC 版)

111号艦(ひゃくじゅういちごうかん)は、第四次海軍軍備充実計画(④計画)により大和型戦艦四番艦として計画され呉海軍工廠で建造された戦艦であるが[1][3]、未完成のまま工事中止[4]、解体された[5][注釈 1]。艦名は紀伊を予定していたとされるが、明確な根拠はない[6]


  1. ^ 三.戰艦信濃及紀伊の建造工事中止[6] ④計畫に基く戰艦信濃及紀伊は夫々横須賀及呉海軍工廠に於て起工(紀伊は予定より六ヶ月繰上げ)し二重底迄の船殻工事を終つた時期に主として甲鈑の製造遅延の為一時建造工事を中止するに至つたが後日開戰後の軍備戰備計畫の大改變に基き信濃は航空母艦として再現せしめ得たが紀伊は遂に解体することとなつたものである。
  2. ^ (略)[23] 水防だけを完全のものとした後に5箇のポンツーンに切断されて出渠し、浮桟橋代用として戦時中諸処に使用せられて最後を遂げた次第でしたが、防禦甲鉄を張った床面は丁度碁盤の上の碁石のように大きな鋲頭が奇麗に列んでおったのは今でも印象に残っています。
  3. ^ 一.戰艦[25] 近い将來戰艦比率は對米五割又は○以下になることが發見されたので量的保持を一時断念し、武蔵、大和の如き超巨大戰艦を出現せしめ個艦威力の隔絶を以て對抗することとする。斯くて③④計畫に於て大和型戰艦四隻の建造を進めたばかりでなく更に次期軍備の⑤及⑥計畫に於ては夫々三隻及四隻計七隻の追加充費を腹案した。(駐)但し情勢の急變に對處し④以後の戰艦は建造中止又は未起工となり信濃のみが後日空母として竣工した外遂に實現の運びとならなかつた。
  4. ^ 日米兩國の建艦競爭 英海軍年鑑が表示 兩國とも航空母艦と戰艦に専念[27]『ロンドン五月十四日』世界海軍の権威として知られる英國の海軍年鑑「ヂエーンス フアイテング シツプ』一九四年版は日米兩國が有史以來の大建艦競爭をしてゐる事を記載し左の如く其の概異を述べてゐる 日本は四万噸以上の戰闘艦五隻を建造或は建造に着手して居り其中 日進 高松の二隻は完成或は完成に近く紀伊 尾張 土佐の三艦も最早遠からず完成するに近いと思惟される 此中の最後の起工はニヶ年半前であつたと云つてゐる之に反し 米國は戰闘艦十七隻と巡洋戰艦六隻の建艦を計畫した外航空母艦十一隻巡洋艦四十隻と驅逐艦多數の建造に着手してゐる 此中ワシントン級三万五千噸六隻は既に進水し二隻は就役してゐる 四万五千噸のアイオワ級六隻とモンタナ級五隻は夫々建造中或は寄港中であり巡洋艦アラスカ級六隻は一九四一年十二月に起工したと云つてゐる 尚ほ日本海軍は一万二千噸或は一万五千噸級の大型巡洋艦で秩父級のもの三隻を新たに建造してゐるが之等の 装備は十二吋砲六門であると云つてゐる 因に日本の建艦計畫は或る程度疑門で日進は航空母艦に變更される事も考慮され高松は珍袖戰艦として現はれるのではないかと想像されてゐる 但し二艦とも四萬噸と記されてはゐる 日本巡洋艦 驅逐艦は前版より幾分増加の程度である 日本潜水艦數は現在八十隻以上と云つてゐる(記事おわり)

脚注

  1. ^ a b c d e 日本戦艦物語II、202頁「第7表 大和型戦艦一覧表」
  2. ^ a b c #海軍軍備(2)p.25「(艦種)戰艦|單艦屯數(基準排水量)六四,〇〇〇|(隻數)二|(合計屯數)一二八,〇〇〇|(速力)二七.〇|(航續力)一六-七,二〇〇|(主要兵装)四十六糎砲 九/十五.五糎砲 一二/十糎高角砲 一二/飛行機 六|(備考)一隻は建造中止解体 一隻は空母に改造となる」
  3. ^ a b 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 293.
  4. ^ 日本戦艦物語II、340-341頁
  5. ^ a b c d e f #庭田、建艦秘話54-55頁「2.第百十一号艦について」
  6. ^ a b c #海軍軍備(3)p.10
  7. ^ 日本戦艦物語II、247-249頁「大和型建造の必然性」
  8. ^ 日本戦艦物語II、299-302頁「「A-一四〇」艦について」
  9. ^ #庭田、建艦秘話53頁「(ロ)工事概括予定と実際」
  10. ^ a b c 日本戦艦物語II、192-193頁「世界空前の巨大戦艦」
  11. ^ #庭田、建艦秘話50頁
  12. ^ #海軍軍備(2)pp.22-24『第三節 昭和十四年度海軍軍備充實計畫(通稱、第四次補充計畫)』
  13. ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 292–302米海軍の両洋艦隊に対抗するために
  14. ^ a b #海軍軍備(4)p.13「一一〇號艦は予定通り昭和十五年四月七日、一一一號艦は予定を半年繰上げ同年十一月七日起工され、大和型の第三、第四番大戰艦の工事がスタートした」
  15. ^ #海軍軍備(2)p.28「④計画艦艇工事経過」-「戰艦|111号」
  16. ^ 決定版、日本の戦艦 2010, p. 104a110号艦型戦艦「信濃」
  17. ^ a b c d 日本戦艦物語II、347-349頁「大和型と改大和型の建造計画」
  18. ^ a b c d e 決定版、日本の戦艦 2010, p. 104b.
  19. ^ #海軍軍備(2)p.28「④計画艦艇工事経過
  20. ^ #海軍軍備(4)p.13「(假稱艦名)一一一号艦|(建造所)呉工廠|(起工)十六年五月上|(竣工)二十年十月末」
  21. ^ #庭田、建艦秘話51-52頁「(4)工程の繰上げと公試について」
  22. ^ a b #海軍軍備(4)p.13「呉工廠の一一一號艦は一一〇號艦に比し約半年遅れて起工しているので解体可能(所要工數數千)とされたので遂に昭和十七年初に工事中止が確定された。 斯くて兩艦共進水の偉容さえ観ることなく、次項に述べるミツドウエー海戰の結果もあり、一一〇號艦は航空母艦として再出發、一一一號艦は解体することに決定された。」
  23. ^ #庭田、建艦秘話55頁
  24. ^ 決定版、日本の戦艦 2010, p. 10551㎝砲搭載の新型戦艦「A-150」
  25. ^ #海軍軍備(3)p.7
  26. ^ #日本空母物語314-316頁『(2)改造要領』
  27. ^ Hoji Shinbun Digital Collection、Yuta Nippō, 1942.05.15、p.3、2023年8月4日閲覧


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