高周波回路の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 15:53 UTC 版)
極高周波(数GHz以上)の世界では、量子力学のように信号と波が同じように扱われる(あくまでも似ているというだけであり、高周波である波が量子と同じものというわけではない)ため、電圧と電流が同時に計測できない。そのため、Sパラメータなどの電力で考えて設計する。また、回路素子が持つ微小な浮遊容量・浮遊インダクタンスが素子特性に影響する。更に、信号が波として伝播するため、信号を計測するのに不確定性原理が作用する。浮遊容量・浮遊インダクタンスを含めたインピーダンスのマッチングが重要になる(インピーダンス整合)。 根本的な考えは、マクスウェルの方程式から導出される高周波信号の伝播方程式による(分布定数回路)。プリント基板や、集積回路内部の電磁場解析は、もっぱら、コンピュータを用いてマクスウェルの方程式を解く。 回路の配線・抵抗・コンデンサ・インダクタンスなどは、およそ1GHzを超えるような高周波で特性が変化し、それぞれに抵抗・コンデンサ・インダクタンスが新たに存在する等価回路に置き換わる。 また、一般のCMOSで構成されたトランジスタでは遅延時間が大きいため(数マイクロ秒程度)、高周波回路は専用のトランジスタを用いて回路を設計する。数GHz以上の回路ではガリウム砒素などのトランジスタを用いられることが多かったが、近年はSiGeトランジスタやRF CMOSが一般的になりつつある。使用周波数の高い半導体素子では静電破壊に弱くなる傾向があり、使用時に注意する必要がある。高周波回路は特性の変化を考慮して作られ、設計の段階で特殊な技術を要するため、設計には高周波技術者と呼ばれる専門の技術者があたることが多い。企業内では、無線屋さんと俗称されることもある。
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