飛行船の格納庫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/10 06:51 UTC 版)
概して、飛行船用の格納庫は航空機用より大きいものが多い。これは、機体の高さが航空機と比べて高いことによるものである。初期の飛行船は浮上するために水素を用いていたため、飛行船用の格納庫は可燃性ガスの爆発を防ぐために漏電等で火花が発生しないような配慮がなされていた。また、万一の事故の際、格納庫内で次々に飛行船が誘爆しないよう、水素を使用した飛行船用のハンガーは1機か2機分の大きさのものがほとんどである。 第一次世界大戦期、ドイツはツェッペリンを用いてパリとロンドンを爆撃し、イギリスは軟式飛行船を用いて沿岸を警戒するなど、軍事的な用途に飛行船が使われるようになった。次々に発展する航空技術にあわせて格納庫は大型化などの進化を遂げていき、ツェッペリンを格納する水上ハンガーなども製作された。 1930年代に入り飛行船旅行の黄金時代が訪れると、世界中に飛行船係留用の支柱とハンガーが造られた。これらの中で最大のものはアメリカ海軍の飛行船「メイコン」と「アクロン」を組み立てるためにグッドイヤー社が建造したもので、全長358メートル、高さ61メートルもある。 第二次世界大戦期、アメリカ海軍は沿岸防衛計画のもと、全米各地に10あまりの飛行船基地を建設した。このうちのいくつかは現存している。オレゴン州ティラムークにあり現在はティラムーク航空博物館(Tillamook Air Museum)となっているハンガーは、独立の木造建築としては世界最大規模のものである。カリフォルニア州にあるタスティン航空基地には飛行船用として長さ327m、幅89m、高さ59mの大型格納庫が建設された。
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