類体論との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 09:41 UTC 版)
ブラウアー群の概念は類体論の現代的な定式化において重要な役割を演ずる。局所類体論によれば、体 k が局所体ならば、自然な中への同型(局所不変量、ハッセの不変数)inv: Br(k) → Q/Z が存在する。例えば実数全体の成す局所体 R のブラウアー群 Br(R) は同型 inv によって 1/2Z/Z と同一視される。ブラウアー群の位数 n の元は k 上 n2-次元の巡回多元体に対応する。 大域体 K の場合にも大域類体論による同様の記述がある。D が体 K 上中心的な多元環で v をその賦値とすれば、K の素点(賦値)v における局所化 Kv に対して D ⊗K Kv は局所体 Kv 上の中心的単純環であるから、これにより K のブラウアー群から Kv のブラウアー群への準同型が定まる。与えられた中心的単純環 D は有限個の例外を除くすべての賦値 v に対して(Kv で)分解するから、先ほどの準同型による D の像はほとんど全てについて 0 となり、ブラウアー群 Br(K) は次の完全列 0 → Br ( K ) → ⨁ v ∈ S Br ( K v ) → Q / Z → 0 {\displaystyle 0\to \operatorname {Br} (K)\to \bigoplus _{v\in S}\operatorname {Br} (K_{v})\to \mathbb {Q/Z} \to 0} を満足することがわかる。ただし S は K の賦値全体の成す集合であり、矢印は各素点 v ごとに定まる局所不変量 invv の直和を考えることによって与えられる。左側の完全性(二番目の写像の単射性)はアルバート–ブラウアー–ハッセ–ネーターの定理(英語版)の内容であり、中央の完全性は大域類体論の深い事実に基づく。また、右辺の群 Q/Z は K に付随するイデール類の類構造の「ブラウアー群」であると解釈することができる。
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