領土問題の今後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 02:08 UTC 版)
中露国境の最終的な画定は、中国側にとっては今からでは非現実的な外満洲返還論を封じる代わりにロシアとの関係の安定やロシアの資源利用といった経済成長のための実利を得るものであり、他方ロシア側からすればアムール川沿いのわずかな領土を譲歩した代わりに極東ロシアの主要部分を自国の領土として確定するものであった。こうした政府トップの判断による最終解決にもかかわらず、議論に加わることのできなかった国民、中でも双方の民族主義者はこの画定を独断としており大きな不満を持っている。 外満洲は多くの中国人にとって公平でない方法で奪い取られた領土であり、中国の歴史教科書においても「江東六十四屯」の虐殺(アムール川(黒龍江)事件参照)は中国の受けた侵略のシンボルとして描かれている。中でも、清の最大版図の回復を求める民族主義者は、外満洲は中国に返還されるべきだと考えている。 なお、この場合の中国側の民族主義者が主張する「外満洲」には樺太島(中国語名:庫頁島;ロシア語名:Сахали́н、薩哈林島)を含む場合がある。 ロシア側では「領土を割譲したこと自体が憲法違反であり、今後の南クリル(日本の北方領土)などの領土交渉に際して悪い前例を与えた」という非難がある。ロシア領でなくなったアムールの中州を両国で共同経済開発するはずが、中国側の開発にさらされているとも批判されている。また、多数の中国人が人口の多い中国の東北部(内満洲)から人口希薄な外満洲に流入し、貿易商・商店・レストランといった事業を営み、あるいは農業労働者や工場労働者となって労働に従事している現状に、いずれ極東の主人公がロシア人から中国人に代わってしまうのではないかとの懸念がある(ロシア極東地方の人口は700万人程度、対して中国東北は1億人以上が居住する)。
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