順方向バイアス時
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/21 00:48 UTC 版)
pn接合に順方向バイアスを印加した場合を考える。順方向バイアスとは、p型側に正電圧を印加すること、つまり内蔵電位を小さくする方向に電圧をかけることと定義する。するとポテンシャルの釣り合いが崩れて拡散電流が増加し、電流が流れる。 電極からn型、p型それぞれの領域に注入された電子と正孔(多数キャリア)は接合領域にて再結合する。通常のシリコン・ダイオードの場合、接合面を通過してさらに10〜100μm程度の領域まで(少数キャリアとして)注入される。 キャリアが禁制帯を超えて再結合する時、再結合エネルギーを熱や光として放出する。この現象を利用したのが発光ダイオードや半導体レーザである。逆にいえば順方向電流を流すにはこの分の電圧(禁制帯幅が2電子ボルト(eV)なら、最低2V)を外部から与えてやる必要があることになる。ダイオードを順方向バイアスで用いる場合は、ここから不純物準位等を介した遷移による電圧の低下分を差し引き、また電極でのショットキー障壁による電位差や素子各部での抵抗損失を加えた電圧を与える必要があり、これを順方向電圧降下(または順方向降下電圧)と呼ぶ。順方向電圧降下はシリコンダイオードの場合は0.6〜0.7V程度、ショットキーバリアダイオードの場合で0.2Vである。発光ダイオードでは発光波長や出力によって異なり、1~5V程度になる。
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