音楽のパラフレーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/19 20:51 UTC 版)
クラシック音楽におけるパラフレーズとは、元の作品を別のスタイルの文脈の中で改訂・変換することである。トランスクリプションもしくはアレンジメント、主題による変奏と即興に似たものだが、自由な演奏、メロディの装飾と理解されている。19世紀には、ヴィルトゥオーソな要素を加える場合の多い、リートやオペラのメロディに基づいた幻想曲(ファンタジア)と考えられ、一般的には、演奏会用に書かれたピアノのためのサロン音楽だった。有名なものは、リストの3曲のパラフレーズ——つまり、『エルナーニ・パラフレーズ』S.431aおよびS.432(ヴェルディのオペラ『エルナーニ』)、『リゴレット・パラフレーズ』S.434(ヴェルディのオペラ『リゴレット』)、『結婚行進曲と妖精の踊り』S.410(メンデルスゾーン『夏の夜の夢』)で、リストは他にも、『死の舞踏 』S.126では『怒りの日』をピアノと管弦楽のためにパラフレーズしている。 さらに歌詞のパラフレーズもある。16世紀と17世紀の教会音楽は、聖書や詩篇のテキストをパラフレーズすることが多かった。たとえば、ニコラウス・ブルーンスは『ヨブ記』の一節をパラフレーズし、ヨハン・ゼバスティアン・バッハは詩篇をテキストにしたカンタータのレチタティーヴォとアリアをマルティン・ルターのものに基づいてパラフレーズしている。 他には以下のようなパラフレーズの例がある。 モシュコフスキ - ワーグナー『タンホイザー』の「ヴェーヌスベルクのバッカナール」のピアノのためのパラフレーズ。 フーゴー・ヴォルフ - ワーグナー『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のピアノのためのパラフレーズ。 グラズノフ 『Hymne japonais, Paraphrase on National Anthems of the Allies』Op.96 - 『君が代』の管弦楽のためのパラフレーズ。 パーシー・グレンジャー - チャイコフスキー『くるみ割り人形』第2幕の「花のワルツ」のピアノのためのパラフレーズ カステルヌオーヴォ=テデスコ - ロッシーニ『セビリアの理髪師』第1幕「町の何でも屋に」のヴァイオリンとピアノのためのパラフレーズ。 ボロディン&リムスキー=コルサコフ&リャードフ&キュイ『パラフレーズ集』 ダンディ『Six paraphrases sur des chansons enfantines de France』Op.95 ニールセン『詩篇《より近く、神のみもとに》によるパラフレーズ』
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