非負函数に対するトネリの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 10:57 UTC 版)
「フビニの定理」の記事における「非負函数に対するトネリの定理」の解説
(レオニダス・トネリ(英語版)の名にちなむ)トネリの定理(Tonelli's theorem)は、フビニの定理の後継となる定理である。トネリの定理の結論はフビニの定理のものと同一であるが、フビニの定理の |f| の積分が有限であるという仮定は、f が非負であるという仮定に置き換えられる。 トネリの定理では、(X, A, μ) と (Y, B, ν) が σ-有限測度空間(英語版)であり、X×Y から [0,∞] への函数 f が非負かつ可測であるなら、次が成立すると述べられている。 ∫ X ( ∫ Y f ( x , y ) d y ) d x = ∫ Y ( ∫ X f ( x , y ) d x ) d y = ∫ X × Y f ( x , y ) d ( x , y ) . {\displaystyle \int _{X}\left(\int _{Y}f(x,y)\,{\text{d}}y\right)\,{\text{d}}x=\int _{Y}\left(\int _{X}f(x,y)\,{\text{d}}x\right)\,{\text{d}}y=\int _{X\times Y}f(x,y)\,{\text{d}}(x,y).} トネリの定理の特別な場合として、 ∑ x ∑ y a x y = ∑ y ∑ x a x y {\displaystyle \sum _{x}\sum _{y}a_{xy}=\sum _{y}\sum _{x}a_{xy}} のような和の順序交換が挙げられる。ただし a x y {\displaystyle a_{xy}} は全ての x および y に対して非負であるとする。トネリの定理の要点は、このような和の順序交換はたとえ級数が発散する場合でも成立する、ということである。実際、和の順序交換によって値が変わるような例は、 + ∞ {\displaystyle +\infty } および − ∞ {\displaystyle -\infty } にそれぞれ発散する部分列が存在する場合にしか起こり得ないが、今回は全ての元は非負であるため、この可能性は除かれている。 測度空間は σ-有限であるという条件が無い場合、上述の三つの積分がそれぞれ異なる値を取ることも起こり得る。何人かの研究者は、σ-有限でない測度空間に対するトネリの定理の一般化を与えているが、そのような一般化ではしばしば問題を σ-有限の場合に直ちに帰着させるような追加条件が与えられている。例えば、A×B 上の σ-代数を、可測集合のすべての積によってではなく、有限測度の部分集合の積によって生成されるものと設定されることもあるが、これはその積から各要素 A および B への射影が可測ではないという望ましくない結果をもたらす。また他の例では、f の台が有限測度の積の可算個の合併に含まれるという条件が加えられている。Fremlin (2003) は、トネリの定理のいくつかの非 σ-有限空間への拡張が与えられているが、それは幾分技術的なものである。そのような一般化はどれも、抽象的な測度論の範疇を超えた点において意義深い応用例が見つかっているものではなく、実際の興味あるほとんど全ての測度空間は σ-有限である。
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