電波伝播経路の特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 07:23 UTC 版)
「グローバル・ポジショニング・システム」の記事における「電波伝播経路の特性」の解説
GPS衛星からGPS受信機まで電波が達する経路では、電離圏や対流圏での電波特性の変化により、若干の電波伝播速度の遅延が生じる場合がある。これによって、計算で定めたはずの空間上の一点の信頼性が損なわれる。一般的に受信機からみてGPS衛星が低仰角の場合、この誤差は増加する傾向がある。これは大気中を電波が伝播するときの遅延による影響が、高仰角(薄い大気を通過する)よりも低仰角(厚い大気を通過する)で大きいからである。またそもそも低仰角衛星からの信号は減衰が大きい。 このための補正手段として、正確な時計をもち座標のわかっている固定局を設置し、GPS受信データから計算した位置と固定局の位置の差から、精度を上げるなどの仕組み(ディファレンシャルGPS、Differential GPS、DGPS)も確立されている。DGPSの補正信号は、かつてFM放送の利用されていない帯域で送信するシステム(JFN系列の放送局で実施)があり、カーナビなどでの利用には有用であった(1997年5月〜2008年3月)。また、WAASやMSAS(MTSATを利用した日本の運用)では、静止軌道の衛星からDGPSの補正信号を各受信機に送信している(WAAS/MSAS静止衛星自体もGPS衛星同様、測位にも使われる)。 このほか、ビル街や谷山ではマルチパス(ひとつの衛星からひとつの受信機までの電波経路が反射によって多数存在すること。旧アナログテレビ放送におけるゴースト現象同様)により、信号の時間差が生じたりS/N比が低下し、精度が落ちる。
※この「電波伝播経路の特性」の解説は、「グローバル・ポジショニング・システム」の解説の一部です。
「電波伝播経路の特性」を含む「グローバル・ポジショニング・システム」の記事については、「グローバル・ポジショニング・システム」の概要を参照ください。
- 電波伝播経路の特性のページへのリンク