電化設備の撤去
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 22:27 UTC 版)
電化は初期投資を要するが、輸送量の大きい路線では輸送単位あたりの維持費用は一般に低い。このため、一度電化が行われた路線の電化設備が撤去されることはまれである。 しかしながら内燃動力が一般的でなかった時代には、急勾配と長大トンネルにおける蒸気機関車の煤煙問題を解決するために行われた電化の場合、ディーゼル機関車と強力な換気装置が登場することで電化が必ずしも経済的に有利でないケースが生じてくる。アメリカのグレート・ノーザン鉄道(現・BNSF鉄道)が建設したカスケード山脈越えの路線(カスケードトンネル)は蒸気機関車時代に電化されていたが、このような理由からディーゼル化が行われている。 このほかには、アメリカなどのインターアーバンが貨物鉄道に転換された際、電車による頻発運転の旅客列車の消滅により電化が不要になり、電化設備が撤去された事例も多い。 また、上記の理由以外で設備が撤去された例としては、運用される電気機関車を含めた従来からの直流電化設備全般の老朽化による設備の更新を行わずに、高性能のディーゼル機関車へ置き換えるといったものが挙げられる。例えば、ブラジルのサンパウロ州には急こう配の区間と近郊鉄道が運行される区間を除いたほぼすべての電化区間の電気設備が撤去され、再び非電化となった路線が複数存在するほか、同様の例はチリのサンティアゴ - バルパライソの郊外の間や、コンセプシオン郊外 - テムコの間などにも存在する。 緊急的な電化の解除(意図的に行ったもの)では1次大戦時のドイツで資源不足になり、電化鉄道の架線を撤去して銅を使用した結果、電気機関車が走れなくなったというケースもある。
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