雲母刷りとは? わかりやすく解説

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きら‐ずり【雲母刷(り)/雲×摺り】

読み方:きらずり

料紙装飾浮世絵版画技法の一。版木に糊(のり)や膠(にかわ)をつけて紙に摺りその上に雲母(うんも)の粉を篩(ふる)いかけ、乾いたあと、残りの粉を払い落とす


雲母摺

(雲母刷り から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/30 01:05 UTC 版)

雲母摺(うんもずり[1]、きらずり)は雲母で文様を摺り出すこと[1]

歴史

雲母摺りの源泉を求め料紙の研究から考察が試みられた。12世紀前半の藤原定信による書とされる『金沢本万葉集』の料紙は、具引き地[2]に雲母刷りである[3]平安時代末期に書写された『元永本古今和歌集』の料紙雁皮の染紙に具引きし、唐草、七宝、花菱亀甲唐子などの型模様を雲母摺りまたは空摺りした和製唐紙(からかみ)である[4]

光悦本

川瀬一馬は「慶長年間本阿弥光悦光悦本(嵯峨本)の料紙にこれを用いて、美術的意匠の工夫を示したのが初め[1]」であり「平安朝末期の雲母摺り模様の料紙は中国から輸入された唐紙で日本では作られておらず、平安朝以来光悦のころでも、蝋箋ともども長らく、中国からの輸入品であった」としている[1][5]

浮世絵

浮世絵に施した版画手法のひとつ。金・銀・銅粉を混ぜる手法があったが、銀粉が高価なために、銀粉の代用として雲母の粉を用いる方法が発達した。雲母は銀にくらべて変質しにくいので、銀粉の代用というよりも、むしろ雲母独自の効果を生かす工夫が されてきた[6]岩絵具に細かく砕いた雲母を混ぜて液で溶いて使用し、版木を用いて特色として刷る場合は背景色に応じて、白雲母摺、黒雲母摺、紅雲母摺と呼ばれる[7]。そのほかに細かな装飾には合羽摺を用いて[8]、膠分を増し粘着度を高めた絵具を刷毛で型紙に塗りつけて施す。

現代の雲母摺り

以下、西嶋勝之『版画入門 : 基礎・実作・応用文研出版、1976年https://dl.ndl.go.jp/pid/12427099/1/157?keyword=雲母摺り より

  • 雲母摺り用として、同一の版を二枚用意する。
  • 雲母の下地として、一枚の版を藍ねずみ色(藍と墨を混ぜてつくる)で摺る。
  • もう一枚の版で固着剤(ニカワ液または糊を摺りとり、上から雲母粉を筆でふりかけ付着させる。
  • 乾燥したら、余分の粉を落としておく。
  • 雲母の粉に糊やニカワ液を混ぜて、 絵具と同じ方法で摺る方法もあるが、光沢は少なくなる。
  • 色雲母摺りといって、藍ねずみ色の かわりに青、紅で摺り、上から雲母をかけると、青雲母、紅雲母となり、藍 ねずみ色とはまた感じのかわったもの になる。

出典

  1. ^ a b c d 川瀬『日本書誌学用語辞典』、33頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12237105/1/32?keyword=雲母摺 
  2. ^ 雲母引・具引”. 2025年6月6日閲覧。
  3. ^ 太田彩『「粘葉本和漢朗詠集」と「金沢本万葉集」にみる料紙の装飾と文様—雲母摺り文様の和様化の一過程の考察を含めて』、252-254頁。 
  4. ^ 高橋裕次『日本の料紙装飾の技法における受容と発展について』、280頁。 
  5. ^ 川瀬『日本書誌学用語辞典 蝋箋』、293頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12237105/1/162?keyword=雲母摺 
  6. ^ 西嶋勝之『版画入門 : 基礎・実作・応用文研出版〈文研リビングガイド〉、1976年https://dl.ndl.go.jp/pid/12427099/1/157?keyword=雲母摺り 
  7. ^ 「雲母摺」『世界大百科事典第二版』(CD-ROM)(2版)日立デジタル平凡社、1998年10月23日。 
  8. ^ 雲母摺”. 立命館大学アート・リサーチセンター. 2019年11月27日閲覧。

参考文献

関連資料

関連項目




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