離散化と数値積分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 23:37 UTC 版)
2時間のレースで、自動車の速度を3回測定した結果が次表のようになっている。 時間 0:20 1:00 1:40km/h 140 150 180 離散化とは、この場合、0:00 から 0:40 までの自動車の速度が一定とみなし、同様に 0:40 から 1:20 までと、1:20 から 2:00 までも一定とみなすことである。すると、最初の40分の走行距離は約 (2/3h x 140 km/h)=93.3 km となる。したがって、全走行距離は 93.3 km + 100 km + 120 km = 313.3 km と見積もられる。これがリーマン和を使った一種の数値積分である(走行距離は速度の積分であるため)。 悪条件問題: 関数 f(x) = 1/(x − 1) を考える。f(1.1) = 10 で f(1.001) = 1000 である。x が 0.1 の範囲内で変化したとき、f(x) は約1000も変化する。この f(x) の x = 1 での評価は悪条件問題である。 良条件問題: 対照的に関数 f ( x ) = x {\displaystyle f(x)={\sqrt {x}}} は連続であるため、その評価は良条件である。 直接解法は、問題の解を有限個のステップで計算する。その解は、演算精度が無限ならば正確である。例えば、線型方程式系を解くガウスの消去法やQR分解、線形計画問題のシンプレックス法などがある。実際には有限な浮動小数点数が使われるため、得られる解は近似値となる。 これに対して反復解法は一定のステップ数で完了するとは限らない。ある初期予測値から開始して、反復的に計算を行って徐々に解に収束させていく。一般にこの場合、たとえ無限の精度で計算したとしても、有限回の反復では正確な解にたどり着くことはない。例として、ニュートン法、二分法、ヤコビ法などがある。数値線形代数の大規模な問題には、反復解法が一般に必要とされる。 数値解析では、反復解法が直接解法よりも一般的である。いくつかの手法は基本的には直接解法だが、GMRES法 や共役勾配法などのように、反復解法として使うことも多い。これらの技法では厳密解を得るために必要なステップ数が大きくなるため、反復解法として近似解を利用する。
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