離散分布で、母数が離散的かつ有限の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 00:45 UTC 版)
「最尤推定」の記事における「離散分布で、母数が離散的かつ有限の場合」の解説
以下、コインを投げて表・裏(あるいは成功・失敗:その確率は0.5とは限らない)のいずれが出るかを見る場合(ベルヌーイ試行)を例にとる。 箱の中に3つのコインがあるとしよう。見た目では全く区別がつかないが、表の出る確率 p {\displaystyle p} が、それぞれ p = 1 / 3 {\displaystyle p=1/3} 、 p = 1 / 2 {\displaystyle p=1/2} 、 p = 2 / 3 {\displaystyle p=2/3} である。( p {\displaystyle p} が、上で θ {\displaystyle \theta } と書いた母数にあたる)。箱の中から適当に1つ選んだコインを80回投げ、 x 1 = H {\displaystyle x_{1}={\mbox{H}}} 、 x 2 = T {\displaystyle x_{2}={\mbox{T}}} 、 … {\displaystyle \ldots } 、 x 80 = T {\displaystyle x_{80}={\mbox{T}}} のようにサンプリングし、表(H)の観察された回数を数えたところ、表(H)が49回、裏が31回であった。さて、投げたコインがどのコインであったと考えるのが一番尤もらしいか? 一番尤もらしいコイン(すなわち、一番尤もらしい p {\displaystyle p} の値)を推定するためには、次のように尤度を計算する: P ( 49H/80 ∣ p = 1 / 3 ) = ( 80 49 ) ( 1 / 3 ) 49 ( 1 − 1 / 3 ) 31 = 0.000 P ( 49H/80 ∣ p = 1 / 2 ) = ( 80 49 ) ( 1 / 2 ) 49 ( 1 − 1 / 2 ) 31 = 0.012 P ( 49H/80 ∣ p = 2 / 3 ) = ( 80 49 ) ( 2 / 3 ) 49 ( 1 − 2 / 3 ) 31 = 0.054 {\displaystyle {\begin{matrix}\mathbb {P} ({\mbox{49H/80}}\mid p=1/3)&=&{\binom {80}{49}}(1/3)^{49}(1-1/3)^{31}=0.000\\&&\\\mathbb {P} ({\mbox{49H/80}}\mid p=1/2)&=&{\binom {80}{49}}(1/2)^{49}(1-1/2)^{31}=0.012\\&&\\\mathbb {P} ({\mbox{49H/80}}\mid p=2/3)&=&{\binom {80}{49}}(2/3)^{49}(1-2/3)^{31}=0.054\\\end{matrix}}} こうして母数 p ^ = 2 / 3 {\displaystyle {\hat {p}}=2/3} によって尤度が最大となることがわかり、これが p {\displaystyle p} に対する最尤推定量である。
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