階層の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/09/25 06:52 UTC 版)
階層とは、人、ものごと、考え方などを順位付けしたり、組織化するためにレベル分けしたシステムである。このシステムでは、一番上に要素が一つだけ配置され、その下に1つ以上の要素が連なって行く。階層の概念は直感的にも理解しやすいが、数学的に記述することもできる。階層図は通常はピラミッドのようになるが、一番上に要素が一つだけ配置されること以外、必ずしもピラミッドの形をしている必要はない。 企業の組織なども階層で表され、責任の所在、リーダーシップの遂行、コミュニケーションの促進のために利用されている。「もの」に関する階層としてよく知られているものにパソコンがある。一番上にパソコン本体があり、その下にモニター、キーボード、マウスが配置される。 概念の世界においても、複雑な実体を詳細に表現するために階層が使われる。実際その実体をいくつかの成分に分解し、それらを順次階層に落とし込むことで構造化される。このときの階層数(訳者注:階層を構成する段の個数)は我々の認識を反映していることになる。なおこれらの手続きにおいて、各要素を全体から理解するように心がける必要がある。同レベルの要素であれ他のレベルの要素であれ、対象とする要素以外は一時的に無視することになる。このような方法により、どんな複雑な実体でも包括的に理解していくことができる。 この階層を解剖学を学ぶ医学生が使う場面で考えてみる。彼らは筋骨格系(手とそれを形成する筋肉や骨といった、組織と下位組織)、循環器系(たくさんのレベルと枝を含む)、神経系(たくさんの成分とサブシステムを含む)などについて独立に学んでいきながら、それら全ての系とその主要な下位組織を理解していく。優秀な学生であれば、細胞あるいは分子レベルに至るまでとことん分解していくであろう。このようにして最後には鳥瞰図とかなりの細部を理解することになる。しかもそれだけでなく、全体から見た細部の関係性さえも理解していることになる。階層を使うことで、彼らは解剖学の包括的な理解に至ることが分かる。 これと同じことが、我々が複雑な決定問題に取り組むときにも言える。すなわち、階層を使うことで大量の情報を統合しながら、その問題の本質を理解できる。情報を構造化しながら、全体として徐々に問題の見通しを良くしていくことができる。
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