隅田川における河川環境改善
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/01 20:21 UTC 版)
「ダムと環境」の記事における「隅田川における河川環境改善」の解説
反面、ダムによって河川環境が改善された例がある。東京都を流れる隅田川はかつて漕艇競技が盛んで明治天皇の天覧試合も有る程盛り上がりを見せていた。だが戦後の急速な人口増加は隅田川の自然浄化機能を著しく超える水質汚染を招き、メタンガスの湧き出る河川となってしまった。1961年(昭和36年)当時の隅田川の水質はBODが35 - 40ppmであり、汚染の目安が10ppmであることを考慮すると汚染は甚だしかった。このため早慶レガッタが同年水質悪化を理由に中止となる等、極めて深刻な状況となった。 隅田川の水質改善を図るべく東京都は下水道整備を促進したがこれだけでは不完全であった。そこで建設省は東京の渇水対策のために建設中であった武蔵水路を隅田川の浄化用水にも利用した。具体的には豊水期に利根川上流ダム群から放流された不特定利水分の水量を利根大堰で取水。武蔵水路を経て荒川に送水し新岩淵水門で隅田川に利根川の浄水を放流。自然浄化の促進を図った。この結果隅田川の水質は年次的に改善、1970年代後半にはBODも8 ppmまで改善し早慶レガッタも復活した。1992年(平成4年)には神田川にアユの遡上が確認され、1997年(平成9年)にはBODが4 - 5 ppmまで改善した。ダム・堰の連携と下水道整備による河川環境改善の最たる例である。
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