陸軍経理学校の設立
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1890年(明治23年)11月、陸軍経理学校条例(勅令第265号)の施行により陸軍経理学校が設立された。学校条例第1条で陸軍経理学校は「陸軍監督および陸軍軍吏を養成する所」と定められた。学校の編制は陸軍省会計局長に隷する校長の下に幹事が置かれ、さらに教官その他と学生からなる。学校条例第4条で校長の階級は一等監督、幹事は監督補、教官は二等または三等監督、監督補、一等または二等軍吏、および文官の教授と定められた。初代校長は欧州視察を終えた陸軍軍吏学舎の初代舎長、川口武定一等監督である。 学校条例による陸軍経理学校の被教育者は次のとおり(1890年11月時点)。 監督学生 陸軍監督に必要な学術を教授される。 各兵科中尉の志願者。一等または二等軍吏のうち優秀者は特に選抜して監督学生となることも可。修学期間は2年。 軍吏学生 陸軍軍吏に必要な学術を教授される。 一等書記の中より選抜、ならびに各兵科曹長の志願者。修学期間は10か月。 陸軍監督は中央と各地方における陸軍経理の統轄監視官であり、陸軍軍吏は局地の会計経理の実施官として職域が分別されていた。監督学生は校外に居住し通学する。軍吏学生のうち通常は営内居住の曹長も学生として修学期間中は営外に居住する。監督学生は毎学年末、軍吏学生は学期末に大試験を行う。第2学年の末に及第した監督学生には監督適任証書が、学期末に及第した軍吏学生には軍吏適任証書が付与される。 また、陸軍経理学校より早く同年3月には陸軍省会計局に隷属する教育施設として下士を養成する陸軍被服工長学舎が設立されている。これは現役、予備役、後備役の籍にある兵卒のうち志願して検査に合格した者を学生とし、軍服・軍靴などを製造補修する各兵科の特業下士、すなわち陸軍縫工長または陸軍靴工長となるよう約1年の修業期間で養成する施設である。学舎は東京市本所区横網町に置かれた。 1891年(明治24年)8月、陸軍省官制中改正(勅令第90号)の施行により陸軍省会計局は陸軍省経理局に名称が変更された。これに合わせ1893年(明治26年)12月、陸軍経理学校条例中改正(勅令第246号)により同校は陸軍省経理局の管理下と定められ、学校に幹事は置かず副官に変更された。
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