陸地の浸水・海没
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 19:31 UTC 版)
オランダ、ドイツ北部、デンマーク、バングラデシュ、ベトナムなど海抜以下の地域を抱えた各国、オセアニア諸国、モルディブなどの海抜が低い島を擁する地域の中には、海面上昇が差し迫った問題となっているところもある。既にツバルでは集団移住が計画されており、今後この様な海面上昇による移民(環境難民)の発生が予測されている。ツバル等で見られる浸水被害は現時点ではローカルな人工的要因の影響が大きいが、これが今後予測される海面上昇の危険性を高めているとされる。詳しくはツバル#気候変動を参照。 モーリタニアの首都・ヌアクショットの大半は海抜ゼロメートル地帯にあり、迫りくる海面上昇にさらされている。この状況はこの数十年で悪化してきており、約100万人が住むヌアクショットで洪水が発生している。また、洪水は悪臭のする池を発生させ、これにより都市では水で媒介する病気が蔓延している。 海面上昇により平均海面が上がると、これに準じて高潮や波浪による最大波高も上がる。このため、海面上昇によってこれらの災害の危険性が増し、被害はより内陸へと拡大する。また浸水区域の広域化を招くための防潮扉・排水ポンプの設置など、海岸沿いの地域経済及び自治体に多くの負担を強いることとなる。日本における試算例では、15cmの海面上昇で毎年5兆円以上の被害が生じると予測されている。また1mの海面上昇で大阪では北西部から堺市にかけて海岸線はほぼ水没、東京でも江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区のほぼ全域が影響を受けると予測されている。 砂浜の喪失による被害も懸念されている。日本における試算例では、海面が7 - 24cm上昇しただけで、経済的損失が毎年121 - 430億円に上ると予測されている。また1m海面が上昇すると、日本全国の砂浜の9割以上が失われると予測されている。
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