限界や問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 04:42 UTC 版)
ポリゴンによる描画では、シェーディング、レンダリングの仕様にもよるが、複数のオブジェクトが衝突し、立体座標において重なった場合、いわゆる「ポリゴンの食い合い」が生じる。これはオブジェクトや背景同士が貫通し合うという、現実には有り得ない絵を生み出す原因になるが、パーツを組み合わせて人体を作るといった「関節ポリゴン」によるオブジェクトを可能とするなどメリットも多い。また、ゲームでは多くの場合、衝突判定によって次の描画フレームではお互いのオブジェクトが反発しあって引き離されるため、あまり問題にならない。 しかし、スーパーFXチップによる擬似的三次元描画では、スクリーンの拡大縮小や回転によってポリゴン面のようなものを作り出しているにすぎず、仮にオブジェクトが衝突しても、それぞれのスクリーンがカメラから遠い順に描かれていくだけであって、そのスクリーンが他のスクリーンと食い合ったり貫通したりということはありえない。これはZバッファを持たないPlayStationでも同様である。 したがって、食い合うような状況を避けねばならず、衝突判定を大きく取る必要があった。他オブジェクトや壁などの障害物と大きく食い合う状況を作りかねない高速度のレースゲームなどには不向きであり、開発されることもなかった。『スターフォックス』では『F-ZERO』に登場する架空の反重力発生装置である「G-ディフューザーシステム」を使用しているという設定により、地面との接触を回避する理由付けがゲーム要素として盛り込まれていた。スーパーFXチップによる擬似的三次元描画技術の開発とG-ディフューザーシステムという設定のどちらが先にあったのかはともかく、この設定の所以によって「衝突が発生しづらい」状況をシナリオの側面から人為的に作り出していた。 このほか、ポリゴンによる描画では、そのポリゴン面をリアルタイムに変形させて人体の関節や、オブジェクト自体の滑らかな動きを作る、「変形ポリゴン」という技術が存在する。スーパーファミコンではこうした表現は不可能ではないが、スクリーンの透明処理や分解をリアルタイムに行う必要があり、処理能力的に困難であった。 加えて、通常、3次元コンピュータグラフィックスにはワイヤーフレーム、フラットシェーディング、グーローシェーディングなどがあるが、スーパーファミコンではワイヤーフレームによるグラフィックと面を張ったグラフィックとは、根本的に別物である。また、いわゆるフラットシェーディングのような描画しかできず、グーローシェーディングという概念自体が存在しない。
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