間接統治と直接統治
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 07:17 UTC 版)
統治形式としては、植民地の有力者を名目的なその地域のトップとし、その支配者を通じて支配を行う間接統治(かんせつとうち)と、本国から直接官僚を送り込んで植民地を支配させる直接統治(ちょくせつとうち)の2つの形態がある。間接統治はイギリスの北部ナイジェリア保護領高等弁務官を務めたフレデリック・ルガードによって体系化されたもので、植民地政府のわずかな予算と人員では広大な植民地全土の統治が困難なため、植民地化以前の首長層や行政組織、法体系を残存させて実際の統治を行わせ、宗主国はその監督のみを行うことで行政の効率化を図ったものである。ただし残存した各種体系にも宗主国の理念や基準に沿ってある程度の改変は加えられ、また現地首長が宗主国の意に沿わない行動をとった時には即座に更迭が行われた。この方式は植民地化以前に王国が存在し行政組織が整えられていた地域においては成功をおさめ、各植民地でこれを参考とするものが相次いだが、一方でナイジェリア南部のイボ人のように無頭制社会を構成し首長制が存在しなかった地域においても強引に首長を任命し同様の制度を志向しようとしたため、大きな摩擦を生んだ地域も存在した。これに対しフランスは直接統治を原則とし、現地の伝統支配層の権限を極力小さくして任命官僚が統治を行ったものの、現地の状況に合わせ間接統治を導入した地域も存在した。ただし両国とも現地エリートの育成には積極的であり、育成されたエリートはやがて伝統的首長層と対立することが多くなっていった。
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