開門に反対する運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 15:52 UTC 版)
「諫早湾干拓事業」の記事における「開門に反対する運動」の解説
堤防の治水機能の重要性を指摘する地元住民や営農者は開門に反対であった。自治体としては長崎県・雲仙市・諫早市などが開門に反対している。 2010年の福岡地裁の開門命令を受けて、農水省は長崎県の地元関係者の元に職員を派遣し戸別訪問を行った。その回数は、2013年度(平成25年度)当初予算成立後の同年5月15日から2014年度(平成26年)3月3日の約10カ月の間に、本省係官によるものが45回、九州農政局係官によるものが368回の合計413回にもなった。しかし、地元住民らの開門に反対する意思は強く、2013年9月9日に国有地で農水省が開門調査のために工事を実施しようとしたところ、長崎県選出国会議員や県議、諫早市議らを含む住民ら約350人が集結してこれを阻止した。9月27日、10月28日にも開門に反対する地区住民のべ1700人に阻止され、工事ができない事態となった。 対策工事の予定地は、開門反対派である民有地や県有地(長崎県と諫早市も開門に反対)が多く、それらの場所については着工する目処が立たず、開門に向けた対策工事は実施不可能となった。2002年4月から5月にかけて短期間の開門調査では、汚染された調整池の水やヘドロによって漁業被害が出ることが懸念された。 開門判決から5年経過した2015年9月の段階でも、開門に必要な工事は地元住民の反対運動に阻まれて全く着手できなかった。諫早市長の宮本明雄は「開門調査は百害あって一利なし」と述べ、開門に向けての調査は工事は一切認めない考えを示した。また農水省が開門を求める裁判にも地元住民の証言を認めないなど、干拓に対する政府の態度に変化が生じている点を指摘し、「民主党政権になってから諫早湾干拓事業は地元の意見を置き去りにして「無駄な公共事業」の象徴にされてしまった」と述べた。農水省職員が設置した工事看板を、長崎県職員が撤去するなど、役人同士が直接対峙する場面も見られた。
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