長考派・1分将棋の神様
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 09:13 UTC 版)
「加藤一二三」の記事における「長考派・1分将棋の神様」の解説
常に最善手を探すタイプのため、長考を厭わなかった。この長考のために終盤は持ち時間が無くなり、秒読みに追い込まれることが多かったが、そこからがまた強く「1分将棋の神様」と呼ばれ、早指し棋戦の名手でもあった。しかし本人はクリスチャンなので「1分将棋の”達人”」と呼ばれたいと語っている。 長考の有名なエピソードの1つが1968年の第7期十段戦第4局(大山康晴に挑戦)におけるもので、二日目の初手において、前日の大山の封じ手に対して、1時間55分の長考をした。大山の封じ手は自明であり、実際に加藤の予想通りのものであったが、1日目夜の中断時間中に5時間検討し、その上でさらに2時間近くの大長考をしたものであった。この手は最善手であり、最終的に加藤が勝利した(また、この番勝負で初タイトルを獲得した)。 早指し棋戦においては、NHK杯戦で羽生善治、大山康晴に次いで歴代3位の優勝7回を誇る。他の早指し棋戦(早指し選手権戦、日本シリーズ、早指し王位決定戦)でも多くの優勝を重ねた。 長考やそれに伴う秒読みを恐れない姿勢は60を超えても変わらず、河口俊彦は下記のように評した。 何事にも例外はあるもので、年老いても秒読みになるのを恐れず、秒を読まれて誤ることの少ない人がいる。 / 加藤一二三で、この人こそ、天才の中の天才である。パッと浮んだ手が常に最善手で、だから三十秒、四十秒、五十秒……とせき立てられても慌てない。すでに指す手を決めてあるから。 — 河口俊彦、 一方で中原誠は「加藤さんが『1分将棋の神様』『秒読みに強い』とは言っても、随分、手を間違えている。むしろ、1分将棋・秒読みに強いと感じさせるのは羽生世代だ。」と述べており、加藤自身も時間配分の失敗により敗局したものは100局を下らないと述べている。
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