銀行危機・金融危機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:19 UTC 版)
「世界金融危機 (2007年-2010年)」の記事における「銀行危機・金融危機」の解説
全米経済研究所によれば、景気後退はリーマン・ブラザーズ破綻の9ヶ月前である2008年1月には始まっていた。耐久消費財や自動車の支出下落、大量解雇も銀行危機より早く起きており、しかも大西洋を越えたヨーロッパで影響が出ていた。2008年3月にベアー・スターンズの経営危機が明らかになると、金融危機が世界的に報道され始めた。9月に入って、政府支援機関(GSE)のフレディマックとファニーメイが実質的破綻に陥り、9月15日にはリーマン・ブラザーズが連邦倒産法第11章適用を申請し、負債総額6390億ドル(約64兆円)というアメリカ史上最高額の経営破綻を起こした。さらにバンク・オブ・アメリカによるメリルリンチの買収、保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の国有化など、金融機関の再編が進んだ。 9月のショックで、リーマンの決済銀行であるJPモルガン・チェース、シティグループ、バンク・オブ・アメリカはレポ債権の追加担保を要求したが、貸付が打ち切られ倒産した。リーマン・ショックはリーマン債を保有していたMMFを元本割れさせた。9月19日、MMF保険創設のため連邦政府が為替安定基金から最大で500億ドルを取り崩す方針が公表された。リーマン以外の清算ケースでもCDSは同様の状態であり、CDSの売り手となっていた金融持株会社、投資銀行、保険会社、ヘッジファンドなどは、短期金融市場からの資金調達を金利の急騰に阻まれた。ヨーロッパ系銀行もドル建て流動性資金について同じ境遇であり、新興国経済から資金を引き揚げた。この資金引き揚げによって、中欧・東欧・南欧にも金融危機が波及した。 2008年第2四半期から2009年第1四半期には、世界の資本移動の90%が消滅し、富裕国の資本移動は17兆ドルから1.5兆ドルへと減少した。2009年第2四半期は、IMFにGDP統計を提出している60カ国のうち52カ国でGDPが縮小した。サプライチェーンが同期しているためにアメリカやヨーロッパの需要減少は各国に波及し、世界貿易機関(WTO)が統計を取る104カ国の全てで輸出入が減少した。世界の原油価格は76%下がり、産油国で財政赤字が続出した。
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