野生生物の生息地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 15:07 UTC 版)
1986年に人々が避難すると、放射性物質に汚染されているにも関わらず赤い森へ動物が移動してきた。事故後の放射性物質による汚染によって、赤い森における植物相および動物相は劇的な影響を受けた。事故後、数年間で赤い森の生物多様性が増したように思われる。赤い森の植物の中に突然変異を起こしているものが多数存在するとの報告があり、それにより赤い森は強く変異した植物が多数存在する「不思議の森」であるとの確証のない話がされている。特に、木々の中には空に向って伸びずに枝を不気味に曲げているものもあった。 事故後、数年間で巨大化した植物もある。形状は通常のものと同じであるが、サイズが平均よりもはるかに大きくなっているのである。赤い森における植物の巨大化や他の変異は立ち入り制限区域の中でも最も放射性物質で汚染された所で見ることができる。 赤い森のある場所は、世界で最も汚染された地域の1つであり続けているが、この場所は驚くべきことに多くの絶滅危惧種にとって豊かな生息地になっている。原子炉を囲む地域から人々が避難したことにより、草木が生い茂り他に類の見ない生息地が形成されるに至ったのである。 BBCの科学ドキュメンタリー番組“Horizon”が1996年に放送した“Inside Chernobyl's Sarcophagus”では、事故を起こした4号炉の中にできた大きな穴から鳥たちが出入りしているところが見られた。動植物の放射性物質に対する耐性は著しく異なっているが、放射性降下物による赤い森の植物相および動物相への長期的な影響は十分には知られていない。尾の毛の発育が止まった鳥がいることも報告されている。この地域では、コウノトリ科の鳥類、オオカミ、ビーバー、ワシが生息していることも報告されている。
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