野生の乳酸菌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 14:03 UTC 版)
「マロラクティック発酵」の記事における「野生の乳酸菌」の解説
オエノコッカス・オエニはマロラクティック発酵を乳酸菌として好適であると多くの生産者が考えているが、これはブドウ畑にも生息しうる。ただし、極めて少数しか見つからないことも多い。カビが生えたり傷がついたブドウには多様な細菌叢が発達しうるが、乳酸菌は収穫後の健全なブドウに付着していることが多く、菌種としてはラクトバシラス属やペディオコッカス属が一般的である。微生物学者による研究によれば、破砕後のブドウには103コロニー形成単位の細菌が存在し、オエノコッカス・オエニのほかP. damnosus、L. casei、L. hilgardii、L. plantarumが含まれている。あらかじめムストに二酸化硫黄を加えることでこれらの野生乳酸菌を殺さない限り、発酵初期段階において細菌叢は野生酵母を含む他の微生物に優越する。 ワイナリーにおいては、野生の乳酸菌がワインと接触する箇所が複数存在する。例えばオーク樽、ポンプ、ホース、瓶詰のラインなどである。フルーティな白ワインなどのマロラクティック発酵を起こしたくないワインの場合、醸造設備の衛生管理が適切でないと意図しないマロラクティック発酵を発生させワインの劣化につながる。オーク樽の場合、完全に殺菌することは不可能に近いため、ワイナリーによってはマロラクティック発酵を行うワインを貯蔵した樽には目印を付け、それ以外の樽や新しい樽などマロラクティック発酵を行わないワインに用いるためのものとは区別できるようにしている場合もある。
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