重力波源の候補
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 10:11 UTC 版)
「重力波 (相対論)」の記事における「重力波源の候補」の解説
重力波は、物体が加速度運動をすることにより放出される。ただし、完全な球対称な運動(星の崩壊など)や円筒対称な運動(円盤状物体の回転など)からは放出されない。 一般相対性理論が日常生活で意識されることがほとんどないように、この理論から予言される重力波の振幅は非常に小さい。 人工的に作り出して観測することは不可能であるので、波源は宇宙の天体現象に期待される。想定される起源としては、以下のようなものがある。 2つの天体による準ケプラー運動 太陽を周回運動する惑星のように、連星系の天体からは重力波放出が期待される。特に、連星中性子星あるいは連星ブラックホール(あるいは中性子星とブラックホールの連星系)のスパイラル運動、およびそれらの最終的な合体フェイズで発生する重力波は、地上レーザー干渉計での重力波検出の重要な候補である。連星系が重力波放出により、軌道半径を小さくしてゆく運動をインスパイラル運動という。 中性子星・白色矮星などのようなコンパクトで非常に重い星の非球対称振動 1つの天体からでも重力波放出が期待される。また、ブラックホールが形成されるときは、ブラックホールに物質が吸い込まれる時に、特徴的な減衰振動が期待される。これは、ブラックホール準固有振動(英語版)(英: quasi-normal mode)と呼ばれている。いくつもの白色矮星の振動による重力波は、合成されてノイズのように観測されうるだろうことが宇宙空間レーザー干渉計での重力波検出で予想されている。 非球対称な超新星爆発 回転を持つような超新星爆発では、運動の非対称性より重力波放出が期待される。超新星爆発が発生すれば重力波波源として有力だが、発生頻度は連星系の合体などよりは少ないと考えられている。 インフレーション宇宙モデルなどの、初期宇宙の痕跡 モデルによっては、宇宙の相転移で発生する泡状構造の衝突などの現象で重力波が発生する可能性がある。背景重力波として存在することが考えられている。
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