遺伝学的観点から
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 17:22 UTC 版)
一つの個体は、一つの生殖細胞から、体細胞分裂によって細胞数を増やして生まれたものであるから、一つの個体を形成するすべての細胞は、同一の遺伝情報を持つ。ただし、さまざまな例外がある。免疫に関する情報が書き戻される例、レトロウイルスの感染などはセントラルドグマの逆流である。また、体細胞分裂が不等に行われた場合や、DNA合成時のアクシデントなどによる、細胞レベルの突然変異も起こり得る。その場合、体組織の一部に異常を生じる場合や、ガン化する可能性も考えられる。生殖細胞に突然変異が生じた場合のみ、子孫にその形質が現れる。 体内において生じた異質な遺伝情報を持った細胞が体内に混在する状態をモザイクと言う。昆虫では、体の左右で性別が異なる雌雄モザイクという現象を示す個体がまれに発見され、話題となることがある。これに対し、外部から異質な細胞が導入され、その結果として個体内に遺伝情報を異にする細胞が交じる状態が生じたものをキメラという。 同一個体内の細胞は、原則的に同一の遺伝情報を持つが、逆は成立しない。無性生殖があり得るからである。しかし、体細胞分裂の回数にはある限界があるという考えがある。ゾウリムシなどでもそのようなことが言われるし、哺乳類のクローンに関しても、全くの新生児とは考えられないというものもある。それらは染色体にあるテロメアのふるまいにかかわる現象ともいわれ、これが個体の寿命に関して何等かの役割を演じている可能性が指摘されている。
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