通常実施権の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/30 08:24 UTC 版)
通常実施権が独占的なものか否かについては説が分かれている。 非独占的通常実施権差止請求権も損害賠償請求権も否定する立場が多数説である高橋5版(p195)。 独占的通常実施権損害賠償請求権独占的通常実施権者固有の損害賠償請求権を許容するのが通説であり高橋5版(p196)、多くの裁判例でも肯定されている高橋5版(p196)村井2012(p47)(*1) 差止請求権独占的通常実施権者に差止請求権を認めるか否かには議論がある村井2012(p47)(*2) (*1)ただし独占的通常実施権が第三者に対して当然に損害賠償請求できるとする合理的理由を見出すのは難しい高橋5版(p196)。なぜならその独占性はあくまで特許権者との契約に過ぎず、しかも公示されているものではないからである。損害賠償請求権が肯定されたのは、実務で利用率の低い専用実施権の代わりに独占的通常実施権が活用されている現状に基づいた政策的判断により高橋5版(p196)、なし崩し的に高橋5版(p196)行われたものである。 (*2)差止請求権を認める場合の理論構成 としては以下の二通りがある: 独占的通常実施権者に固有の差止請求権を認める方法村井2012(p47) 特許権者が有する差止請求権を代位行使(民法423条)することを認める方法村井2012(p47) 前者は学説が分かれているものの高橋5版(p195)、否定説が多い高橋5版(p195)。専用実施権の場合は物権法定主義(民法175条)に基づいて差止請求ができる物権類似の排他的独占権が認められるよう特別法である特許法に記載があるが、通常実施権にはそのような記載はなく、しかも物権ではなく債権であるからである高橋5版(p195)。それに対し後者は判例が分かれている村井2012(p47)。
※この「通常実施権の場合」の解説は、「実施権」の解説の一部です。
「通常実施権の場合」を含む「実施権」の記事については、「実施権」の概要を参照ください。
- 通常実施権の場合のページへのリンク