独占的通常実施権
独占的通常実施権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/30 08:24 UTC 版)
専用実施権はその強力な権利が嫌われて高橋5版(p188)、2012年1年間で295件しか登録がない高橋5版(p188)。専用実施権が設定されるのは、特許権者と専用実施権者が密接な関係にある場合がほとんどで高橋5版(p189)、たとえばある会社の代表取締役である特許権者が自身の経営する会社を専用実施権者に設定するような場合や高橋5版(p189)、特許権者である外国企業が国内系列企業を専用実施権者に設定する場合などがある高橋5版(p189)。 そこで専用実施権を利用する代わりに、通常実施権を許諾した上で他のものには通常実施権を許諾しない旨の契約を特許権者と結ぶことがある。このような通常実施権を独占的通常実施権という。実施権者が一人しかいないという点で、独占的通常実施権は専用実施権と類似しているが、あくまで通常実施権であるので、特許権者自身も発明を実施できる。特許権者自身の発明実施をも契約で禁止した独占的通常実施権を完全独占的通常実施権という。なお、特許権者が独占的通常実施権を許諾後、他者に通常実施権を許諾しても、契約違反ではあるが特許法上は適法である高橋5版(p197)。 以上に述べたこと以外にも独占的通常実施権と専用実施権では、差止請求権、損害賠償請求権があるかに関して差異がある。専用実施権では差止請求権、損害賠償請求権の双方とも認められる。独占的通常実施権の場合は、独占的通常実施権者固有の損害賠償請求権を許容するのが通説であり高橋5版(p196)、多くの裁判例でも肯定されているが高橋5版(p196)村井2012(p47)、独占的通常実施権者に差止請求権を認めるか否かには議論があり、判例が分かれている村井2012(p47)。
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