独占禁止法第21条と知的財産権の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/04 16:55 UTC 版)
「無体財産権」の記事における「独占禁止法第21条と知的財産権の関係」の解説
市場の独占を排斥する独占禁止法と、一定の知的財産権に基づいて排他的な独占を認める知的財産諸法の間には、ある意味での対立が存在している。そのため独占禁止法 第21条には、調整規定として「この法律の規定は、著作権法 、特許法 、実用新案法 、意匠法 又は商標法 による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない」の規定が設けられている 。知的財産権保護の保護機能の適用限界を考える上で、この同条文の運用が参考になるものである。 独占禁止法上の理解では、特許法等、これら知的財産権による権利の行使とみられるような行為であっても、それが市場における競争秩序に影響を与え、知的財産権保護の各制度の趣旨(たとえば特許法においては、発明等を奨励すること等の目的)を逸脱し、または同制度の目的に反すると認められる場合には、「権利の行使と認められる行為」とは評価されない。 また、営業秘密・ノウハウ(顧客情報、営業上の秘訣、実験データ、臨床データなどの財産情報、技術に関する有用な秘密情報)に関しては、直接的に排他的な権利が発生するわけではないため、この同21条の考え方が全く同様に適用されるわけではないが、顕著に競争制限的なライセンス形態を有さず、適正な範囲内での営業秘密・ノウハウの流通を行うのであれば、特許法等と同様に考えることで特に問題はない。
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