送受信する情報の豊富化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 08:58 UTC 版)
「雪崩ビーコン」の記事における「送受信する情報の豊富化」の解説
一部のデジタル式ハイエンドビーコンにはW-Linkと呼ばれる「補助的」な電波を備えている。この電波はW-Linkに対応した他のビーコンに追加の情報を伝えられる。W-Linkの周波数は地域により様々である。リージョンAは869.8 MHz、リージョンBは916-926 MHzとなっている。リージョンAはヨーロッパ大陸の大半やスウェーデン、ノルウェー、グリーンランド、アイスランドとその周辺諸国で利用されている。リージョンBはカナダや米国で使われている。ロシア、中国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、日本など、アジアや東ヨーロッパなどではW-Linkの周波数は許可されていない。ユーザは公認の販売店でリージョンを切り替えなければ、これらの国々を訪問した際に手持ちのビーコンでW-Linkを使えないかもしれない。W-Linkには以下のような各メーカー共通の機能がある。 埋没者が複数である場合にビーコン1台1台を区別する機能。 埋没者の人数をより正確に見積もることができる。 埋没者にマークを付けたり外したりすることをより的確にできる(すでに発見した埋没者のビーコンを捜索対象から外す等)。 最も近い埋没者が最も助けやすいとは限らないため、検索する埋没者を選ぶ機能。 埋没者の生命反応や個人情報を送受信する機能。 W-Linkによりビーコンは複数台の信号を区別でき、上記の機能を実現するのに役立っている。Mammut® Pulse Barryvoxのような一部のビーコンは心臓が生み出す筋肉の動きなどを検知できる。これらのビーコンはW-Linkを使って情報を送信し、W-Linkに対応したビーコンを持つ他のユーザは埋没した遭難者がまだ生きているかどうかを判断して、救出の優先順位を決めるトリアージを行うことができる。W-Linkに対応したビーコンを持つチームのメンバーが雪崩に巻き込まれた場合、残った人たちが生きている人の救出を優先し、メンバーの救出に集中できるようにすることがこの機能の目的である。 生体反応検知機能のないビーコン(W-Link機能のないローエンドのビーコン、またはW-Linkを搭載しているが生体反応検知機能がないビーコン)を持つメンバーがいる場合、W-Linkを搭載したビーコンを持つ救助者には2つのインディケーターが表示される。1つは埋没者のビーコンがW-Linkのデータを送信していることを示し、もう1つは埋没者が動いていることを示す。ビーコンが生体反応情報を送信しないため、生存反応があるという表示がないことにより、埋没者が死亡していると誤解してしまうリスクをこれにより緩和できる。
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