近年の影響力低下
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 02:34 UTC 版)
教授を頂点とする医局のシステムは診療科の診療方針全般及び上記のように関連病院の人事について決定権を持つため、治療薬の選択、医療機器の導入、各医学部による関連病院の実質的な支配など大きな利権が生じる余地があること、医局ごとに独立性が強い一方で他の医局との連携が悪かったために「隣の医局は外国よりも遠い」と表現されており、長年批判の対象となってきた。しかし、2004年の新研修医制度導入などの厚生労働省の政策により、近年の医局の影響力低下は著しい。以前ならば大学の医局に入局した卒後医師の多くが、都市部の大病院での研修を希望した結果、医局に入局する医師の数は激減している。このため医局の指導力と絶対的人事権が崩れ、恵まれない環境でも医師が出向せざるを得ない、との状況は過去のものとなった。その結果、大学病院自体の人手が不足し、さらに地方の関連病院や過疎地の診療施設へ赴任する医師が激減している。特に地方の医大において、こういった傾向は著しい。 一連の厚生労働省の施策は、いままでの悪しき習慣としての医局を破壊し、権力を削ぐという点では一定の成果を挙げたものの、地方の基幹病院の統廃合とレベルアップの方策がないままに、医局による医師派遣を必要としてきた地域医療の崩壊をもたらしているとして、功罪半ばと言える。そのため、院長になる資格として、僻地医療を経験した者とする制限を設けようという動きもある。 近年、私立病院だけでなく、国公立病院・公的病院も「公募」により人員を募集する事例が増している。元来は、「医局」から人員派遣を依頼して、その医療が成立していた。しかし、最近は、その経営手腕・能力が実際に問われる局面が増加している。また、経営安定化のため、各病院に経営専門の「院長」である「経営管理者」というポストを設立する動きが強まっている。
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