車両通行帯規制の効力が争われたケース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 03:04 UTC 版)
「車両通行帯」の記事における「車両通行帯規制の効力が争われたケース」の解説
以上のように、車両通行帯は公安委員会が道路標示として指定するものであり、道路標示は公安委員会が設置、管理する事により初めて法的効力を有するものとされる。よって、公安委員会により「規制標示 車両通行帯109」として指定されていないものは、車両通行帯に関する法令が適用されない。 外観上は公安委員会設置の「規制標示 車両通行帯109」と区別が付かないが、道路管理者が区画線として設置する車線境界線(車線境界線102、標識令第6条、別表第4)や、公安委員会が「四車線以上の道路の区間内の車線の境界であること」を指示する道路標示「指示標示 車線境界線206」(標識令別表第6)については、標識令第7条において車両通行帯とみなすこととはされていない。 そのため、法律上は、公安委員会による「規制標示 車両通行帯109」としての指定要件を欠いて、単なる白線で区切っただけでは車両通行帯とならない。法律上、これらの車線境界線のある道路は外観が車両通行帯境界線と同一であっても、道路交通法第18条の車両通行帯の設けられていない道路における通行区分に従うこととなる。したがって、実際上において混乱をさけるため、道路管理者と公安委員会の事前の協議が必要であるとされる。 なお、進路変更禁止の黄色の実線(規制標示102の2)、車両通行区分や専用・優先通行帯等(規制標識327 - 327の6、規制標示109の3 - 109の8)、交差点で進行する方向を指定する進行方向別通行区分(規制標識327の7A - D、規制標示110)は、同時に公安委員会による「規制標示 車両通行帯109」に指定されていることが前提となる。原動機付自転車の二段階右折を行うべき多通行帯道路(車両通行帯が3以上設けられている一定の道路)も同様である。(道路交通法第34条第5項)。 判例上は、公安委員会による意思決定がない道路は車両通行帯ではないので、外観上は車両通行帯と同一であっても通行帯違反は成立しない。 平成27年6月8日 第二小法廷判決本件道路は,…公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。したがって,…法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行したとはいえず,罪とならない。 また、同様に車両通行帯でない道路は、外観上は原動機付自転車の二段階右折を行うべき多通行帯道路(車両通行帯が3以上設けられている一定の道路)と同一であっても、二段階右折をしなかった際に適用される交差点右左折方法違反は成立しない。車両通行帯は一般的には道路の相当区間に連続して設置されるものであるが、進行方向別通行区分の指定(道路交通法第35条第1項)として交差点の入り口のみに進行方向を区分するためにのみ設置された白線であっても、公安委員会が車両通行帯として意思決定をすれば、そこは「車両通行帯の設けられた道路」と解さざるを得ないとされる。 車両通行帯と車両通行帯の区切り(車両通行帯境界線)は、通常は白色の破線で標示されるが、進路変更禁止の道路標示は黄色の実線で標示されるため、この場合は実線となる。また、リバーシブルレーンにおける変移対象の車両通行帯境界線や、一部の自転車レーンと第二通行帯間の車両通行帯境界線は白色の実線で標示される。 車両通行帯は、同一方向にある通行帯数の左から第一通行帯、第二通行帯…と数える。
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