赤血球形成の調節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 07:48 UTC 版)
エリスロポエチンが関与するフィードバックループは、赤血球形成の過程を調節するのに役立つ。そのため、非疾患状態では、赤血球の生成と赤血球の破壊が等しくなり、赤血球数は組織の酸素レベルを適切に維持するのに十分で、スラッジ、血栓症、または脳卒中を引き起こすほど高くはならない。エリスロポエチンは、低酸素レベルになると腎臓や肝臓で産生される。さらに、エリスロポエチンは循環する赤血球に結合しており、循環している赤血球数が少ないと結合していないエリスロポエチンが比較的高レベルになって、骨髄での産生を促進する。 また、最近の研究では、ペプチドホルモンであるヘプシジン(英語版)がヘモグロビン産生の調節に関与し、赤血球形成に影響を与える可能性も示している。肝臓はヘプシジンを産生する。ヘプシジンは、消化管での鉄の吸収と細網内皮組織からの鉄の放出を制御する。鉄が赤血球のヘモグロビンのヘム基に組み込まれるためには、骨髄のマクロファージから鉄が放出される必要がある。細胞が形成中に従うコロニー形成単位がある。これらの細胞は、顆粒球・単球コロニー形成単位を含め、コミット細胞と呼ばれる。 ヘプシジンの分泌は、エリスロポエチンに反応して赤芽球から産生される別のホルモンであるエリスロフェロン(英語版)によって抑制され、2014年に同定された。これにより、エリスロポエチンによる赤血球形成と、ヘモグロビン合成に必要な鉄の動員とを結びつけていると考えられる。 マウス細胞でエリスロポエチン受容体やJAK2の機能が失われると、赤血球形成に障害が生じるため、胚での赤血球の産生や成長が妨げられる。全身的なフィードバック抑制がない場合(たとえばサイトカインシグナル伝達タンパク質のサプレッサーの減少または欠如)、マウスモデルで示されているように巨人症が起こる可能性がある。
※この「赤血球形成の調節」の解説は、「赤血球形成」の解説の一部です。
「赤血球形成の調節」を含む「赤血球形成」の記事については、「赤血球形成」の概要を参照ください。
- 赤血球形成の調節のページへのリンク