警備員の権限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 05:17 UTC 版)
警備員は民間企業の従業員たる一般私人で、契約者などの施設管理者が本来有する施設管理権に基づき、施設管理行為の治安維持を代行する者で、法律により特別な権限は付与されていない。警備業法第15条は以下に規定し、警備員は業務遂行にあたりなんら特別な権限を有さない。 「警備業者及び警備員は、警備を行うに当たっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」 実務で以下の制限がある。 警備員は通常の私人の有する権限以上の権限を有しているわけではないため、犯罪者の逮捕は原則通り現行犯の場合のみ可能である。警備員が取調べや類似行為を行えば、警備員が監禁罪に問われる可能性がある。これも原則どおりであるが、現行犯逮捕した場合は、速やかに警察官(司法警察員)に引き渡す義務がある。現行犯逮捕に付随する実力行使についても、同じく原則通り、刑法上の正当行為・正当防衛・緊急避難のいずれにも該当しない場合は触法となりうる。 労働争議への介入は法制定の契機で全面的に禁止されている。 警備員が行う、工事現場などにおける人や車両の誘導などの「交通誘導」「交通警備」は、法的拘束力がない。その点で、警察官や交通巡視員の法的強制力を有する「交通整理」とは異なる。それゆえ、仮にある警備員が、(道路交通法第2条1項第14号で定義される)信号機と異なる指示を行い、ある車両運転者がそれに従うと、その運転者は交通違反となる可能性があり、刑事処分や行政処分を受ける場合がある。 例外 駐車監視員:都道府県警察が民間の警備員のうち駐車監視員の資格を取得した者を、所轄の警察署管内における駐車監視員として業務にあたらせることがある。民間の警備員であっても、駐車監視員の職務を執行している間は「みなし公務員」となり、駐車監視員の業務を妨害した場合、公務執行妨害罪になる。また駐車監視員にも職務上の守秘義務が課される。 在外公館警備対策官:外務省が、民間の警備員を外務省職員として出向させて在外公館の警備対策官に任用する事例では、派遣された国により、それぞれ二等書記官、三等理事官、副領事などの官職名が付与される。
※この「警備員の権限」の解説は、「警備員」の解説の一部です。
「警備員の権限」を含む「警備員」の記事については、「警備員」の概要を参照ください。
- 警備員の権限のページへのリンク