誘導と気象状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 01:21 UTC 版)
「テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故」の記事における「誘導と気象状況」の解説
16時58分、管制塔の指示に従い、KLM4805便は滑走路を逆走して端まで移動し、180度転回して、その位置で航空管制官からの管制承認(詳しくは航空交通管制参照)を待った。KLM4805便が移動を行っている最中に濃霧が発生。視界は1,000フィート(300mほど)程度に低下し、管制官は滑走路の状況を目視できなくなった。 17時2分、PAA1736便はKLM4805便に続いて同じ滑走路をタキシングした。PAA1736便に対する管制塔からの指示は「滑走路を途中の「3番目の出口」まで進み、そこで滑走路を左に出て平行誘導路に入り、そこでKLM4805便の離陸を待つように」というものだった。ところが、霧の中、C3出口に到達したPAA1736便のクルーはこの出口を出るためには左に148度転回し、さらに平行誘導路に出る時にはもう一度右に148度転回しなければならないことに気付いた。通常B747のような大型機にこのような困難な進路指示は出すものではなく、スペイン当局の事故調査報告では、なぜ管制官が曲がりやすいC4出口でなくC3出口を指示したかについては触れられていないが、当時B747は最新鋭の大型機であり管制官にその知識が乏しかったためとされている。PAA1736便クルーは小さな滑走路でB747がこのような急転回をするのはほぼ不可能と考え、管制官が45度転回で済むC4出口で左へ曲がり滑走路を出るよう指示したに違いないと判断、C3出口を通り過ぎ、C4出口に向けて滑走路を進み続けた。さらにPAA1736便の副操縦士は管制官から「1、2、3の3番目」という指示を受けた時点で既にC1出口を越えていたため、C2出口から3番目にあたるC4出口を指示された地点だと信じていたと証言している。なお、事故後にKLMは独自で実験を行いB747はこの曲率を通過できることを示して、PAA1736便が指示通りにC3出口で滑走路を出ていれば事故は起こらず、管制官の指示に従わなかったPAA1736便の行為が事故の原因であるとしている。
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