誘導について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 00:46 UTC 版)
中胚葉のうち、原口背唇部に由来する部分は、外胚葉に働きかけて神経を形成させる。これはシュペーマンとマンゴルドにより発見され、誘導と名付けられた。誘導現象は他にもあるため、現在ではこれを神経誘導と呼んでいる。その働きを持つ部分として、シュペーマンは原口背唇部を形成体、あるいはオーガナイザー(organizer)と呼んだが、往々にシュペーマンオーガナイザーと呼ばれる。 上記のように、胞胚期以前には赤道域に位置する細胞群が中胚葉に分化するが、この区域の細胞の運命は胞胚期の直前までは決まっていないことも示されている。それが中胚葉に分化する機構として、植物極側の細胞による誘導があると考えられている。これはニューコープによる以下のような実験で示され、また分子生物学的にも裏付けされている。 胞胚初期の胚の動物極側、植物極側の部分を切り出して単独で培養すると、それぞれ外胚葉、内胚葉と思われる細胞が分化する。ところが、両者を接触させて培養すると、その接触面の動物極側の細胞から、筋肉や血管など中胚葉細胞が分化する。 このように背側植物極領域はシュペーマンオーガナイザーを誘導するという重要なものであり、この部位はニューコープセンターと名付けられている。
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