設計と動作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/26 03:56 UTC 版)
塹壕ラジオは、アンテナ線、インダクタ(コイル)、検波器、イヤホンから構成される。 アンテナは接地されたコイルにつなげる。コイルには寄生容量があるため、特定の共振周波数をもつ共振回路(同調回路)として動作する。異なる周波数を受信するにはコイルのインダクタンスを変えればよいが、コンタクトアームというスライダー(日本語では摺動子という)が必要になる。ほとんどの塹壕ラジオはコンタクトアームは無く、直近のラジオ局の周波数のみ受信するものだった。 直列に接続した検波器とイヤホンはコイルと並列につなげる。 鉱石検波器は2つの異なる導体間の電気的接触がショットキーダイオードと同様に機能して整流器とし動作し電流が一方向に流れるが、塹壕ラジオの検波器は様々の一般的な品物から工夫して作られた。代表的なものは、酸化した安全剃刀の刃と安全ピンで刃に押し付けた鉛筆の芯である。刃の特定の場所が機能するため放送が聞こえるようになるまで鉛筆の芯を表面で動かした。 イヤホンは音声電流を音波に変換する。マイク・バーナードによると「ほとんどが戦車乗員からヘッドフォンを手に入れ、片方を分解しコイルの巻線として利用し、もう片方をイヤホンとして使用した」とのこと。リチャード・ルーカスはイヤホンも作った。「収容所で手にいれることができたのは被覆の無い裸線だったので、4本の釘を布でくくってできるだけ間隔を狭めて線を巻いたコイルが短絡しないようにろうそくの蝋をたらして絶縁した。コイルが10層ほどになると竹筒に入れて端から1/32インチくらいになるように調整した。この上にブリキ缶の蓋を置き塹壕ラジオに接続した。受信状況の良い夜でも、イヤホンが貧弱だったので相当静かでないと聞けなかった。磁石があればバイアスがかけられ、より大きい音になっただろう」と書いている。
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