設備の運用について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/19 13:56 UTC 版)
「惑星物質試料受け入れ設備」の記事における「設備の運用について」の解説
惑星物質試料受け入れ設備は、2010年6月13日に地球へ帰還した小惑星探査機はやぶさによって、小惑星イトカワから採取された試料が入っている可能性があるカプセルが、同年6月18日に到着したことによって本格的な運用が開始された。カプセルの通関、検疫手続きも惑星物質試料受け入れ設備内で行われ、JAXAの調布飛行場分室でのCT撮像を経て、カプセルの開封作業が開始されることになった。まずカプセルの洗浄が実施された後、6月24日にはカプセル内のサンプルコンテナの開封作業が開始された。サンプルコンテナ内にはどうしてもわずかずつではあるが地球の大気が透過してしまうため、カプセルの大気圏再突入からサンプルコンテナがクリーンチャンバー内に組みつけられ、開封作業が開始されるまでの時間の短縮が望まれており、結果として大気圏再突入から一週間以内でサンプルコンテナがクリーンチャンバー内に組みつけられた。開封時にはまずコンテナ内の気圧を推定し、クリーンチャンバーとサンプルコンテナの気圧を合わせてから開封が行なわれた。その際、クリーンチャンバー内のガスサンプルを採集した。その後サンプルコンテナ内の観察を経て、7月6日からはサンプルコンテナ内から発見された微粒子の採取と記録が開始された。そして2010年11月16日、サンプルコンテナ内から採取された微粒子の初期分析の結果、イトカワ由来の微粒子が存在することが発表された。今後は研究者への分配が進められ、試料の一部は将来の研究に備えて保管される予定である。 また今後打ち上げが計画されているはやぶさ2、はやぶさMk.IIや、月からのサンプルリターンなどで入手される試料も、試料が入手された場合、惑星物質試料受け入れ設備内で採取、記録、初期分析が行われていく予定である。 また、今後の課題として宇宙検疫への対応が挙げられる。現在の惑星物質試料受け入れ設備では火星などの生命が存在する可能性がある天体や、D型、P型小惑星など現在まだ情報が不足している種類の天体からのサンプルリターンで必須とされる宇宙検疫を行うことは不可能で、はやぶさMk.IIのターゲットとして検討されているD型小惑星からのサンプルリターンでは宇宙検疫を行う設備が必要となる。
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