クリーンチャンバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/19 13:56 UTC 版)
「惑星物質試料受け入れ設備」の記事における「クリーンチャンバー」の解説
クリーンチャンバーは地球環境からの汚染を最小限に抑えることを目的とした設備で、惑星間物質受け入れ設備内の主な作業はクリーンチャンバー内で行われる。 クリーンチャンバーは超高真空状態から大気圧窒素までの気圧状態で作業が行われる第一室と、大気圧窒素の状態で作業が行われる第二室とに分かれている。第一室で超高真空状態での作業が可能となっている理由は、宇宙探査機は真空状態でサンプル採集を行う場面が多いと考えられ、開封時サンプラー内部は真空状態ないしはそれに近い状態であると考えられるため、サンプラー内に気体の流入や流出が発生して試料の散逸が発生することを防ぐため、第一室の気圧とサンプラー内の気圧を合わせて開封する必要があるためである。 サンプラー内の気圧については開封の課程を精密に分析することによって推定し、サンプラー内に気体が存在した場合は開封時に採集を行う。実際、はやぶさのサンプラー開封時には微量の気体が確認され回収も行われた。 二号室は大気圧の窒素が満たされており、主に試料の取り出し、回収、記録が行われる。第二室内には光学顕微鏡があり、電子天秤による計量、赤外分光などとともに試料の初期分類・記録を行う。サンプラーの中から試料を取り出す方法も、容器を傾けてサンプルを石英製の皿に取り出す方法から、特殊なへらを用いる方法、そして先端直径が1マイクロメートル以下という石英製のガラスピペットをマイクロマニピュレーターで動かし、静電気の力を利用して微細な試料を採集する方法も行われる。 クリーンチャンバーで使用される窒素は、全国の業者の液体窒素について品質を調査し、最も不純物が少なかった相模原市内の工場で作られる純度99.99995パーセント以上という液体窒素を使用しているが、これを更に2種類の純化器を用いて純度を99.99999パーセント以上の純度で使用している。 初期分析が終了した後、各研究機関へ試料を配布する際、配分するための石英製の容器に移し替える時もクリーンチャンバー第二室が用いられる。配分用の容器に移し替えられた試料は国内外の研究施設へ送られ、詳細な分析が行われることになる。 またクリーンチャンバーには宇宙空間に近い超高真空状態を保った保管庫があり、試料は元来存在した宇宙空間に近い状態で保管を行うことが可能である。
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