4つのクリーンルームとその機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/19 13:56 UTC 版)
「惑星物質試料受け入れ設備」の記事における「4つのクリーンルームとその機能」の解説
全7室で構成されている惑星物質試料受け入れ設備の中で、加工・洗浄室、試料準備室、電子顕微鏡室、惑星試料処理室の4室はクリーンルームとなっている。特に試料を直接取り扱う惑星試料処理室には高い清浄度が要求され、部屋内の気圧は惑星試料処理室、電子顕微鏡室、試料準備室、加工・洗浄室、更衣室の順に低くなっており、気流の流れが惑星試料処理室に向かわない工夫がなされている。 またクリーンルーム内で働く人間が汚染源となるため、一度に入室する人数に制限を設け、整髪料や化粧品を使用したままの入室を禁じ、更には更衣室から加工・洗浄室に入る部分と、加工・洗浄室から更に清浄度が高い試料準備室の入る部分の2ヵ所にエアシャワーが設けられ、クリーンルーム用衣類も加工・洗浄室とそれ以外の清浄度が高い部屋とでは別のものが使用されている。またクリーンルームでは定期的に超純水で床面の清掃が行われる。 加工・洗浄室は1立方フィート内の0.5マイクロメートル以上の粒子数が10000個とされている。室内には工作機械が備えられている工作機械ブースがある。工作機械の使用によってダストが発生するためクリーンルーム内に工作機械を備え付けるのは異例なことであるが、宇宙探査機のカプセルを分解・解体するのにどうしても工作機械が必要とされた。機械の作動によって発生するダストからの汚染を防ぐため、工作機械ブースに入った空気はクリーンルーム内に戻さない構造となっている。また工作機械ブース以外にカプセルの洗浄などが行われるCO2洗浄ブース、そして試験容器などの洗浄が行われる有機溶剤処理小部屋が設けられている。これらの部屋から排出される空気も屋外へ排出され、クリーンルーム内を汚染しないようになっている。 試料準備室、電子顕微鏡室は1立方フィート内の0.5マイクロメートル以上の粒子数が1000個とされている。資料準備室内には酸・アルカリ処理小部屋があり、加工・洗浄室内の有機溶剤処理小部屋とともに試験容器の洗浄を行っている。使用される酸やアルカリは超高純度のものを使用して容器の徹底的な洗浄を行う。ここから排出される空気もやはり空気も屋外へ排出され、クリーンルーム内を汚染しないようにされている。電子顕微鏡室には採集された試料を観察し、元素分析を行うための走査型電子顕微鏡がある。 クリーンルーム内で最も奥にある惑星試料処理室は、1立方フィート内の0.5マイクロメートル以上の粒子数が100-1000個と最も清浄な空間となっている。惑星試料処理室の内部には実際に試料を扱うためのクリーンチャンバーという密閉された装置が置かれている。
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