訓練の効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/23 04:40 UTC 版)
「日本語話者による英語の/r/と/l/の知覚」の記事における「訓練の効果」の解説
日本人の被験者を対象として、/r/と /l/ の聞き分けを改善させようという試みは様々なものが実験されてきた。 Lively et al. (1994) は、日本に住む、日本語しか話さない単一言語話者でも、「rock」と「lock」といったミニマル・ペア(最小対語)を5人の話者が発声したものを聞かせ、どちらの単語かを尋ねるという訓練を3週間行えば、 /l/ と /r/ を聞き分ける能力が高まることを見出した。この訓練では、正答か否かのフィードバックがなされ、被験者は、正答が出せるようになるまで繰り返しミニマル・ペアを聞かされた。3週間の訓練の後、被験者たちの能力は有意に改善し、3ヵ月後と6ヵ月後に行われた再試験でも、一定の改善の効果が維持されていた(ただし、6ヵ月後の再試験では、能力の低下が認められた)。訓練期間中は、聞き分けがより正確になるにつれ、反応に要する時間は短くなっていった。被験者は、学び取った内容を「一般化」することもできたようであり、ミニマル・ペアが、新たな話者によって発声される場合よりも、すでに聞いたことがある5人の声のいずれかであったときの方が、成績が良かった。 Lively, Logan & Pisoni (1993) は、限られた音韻環境(英語版)で複数の話者が発声する /r/ と /l/を聞き分ける訓練を受けた被験者の方が、一人の話者による多様な音韻環境における訓練を受けた被験者よりも、改善が見られたことを報告している。 McClelland, Fiez & McCandliss (2002) は、日本人の成人に、当初は聞き分けが難しいと思われた話言葉の音を区別させることは可能であると論じている。その説によれば、自ら話す訓練を通して、単なる音の聞き取りではなく話言葉として聞こえるようになる、真の変化が被験者に生じることが、示唆されるのだという。 しかし、成人の学習者が、/r/ と /l/ に関わる困難を完全に克服できるかどうかは、はっきりしていない。Takagi & Mann (1995) は、アメリカ合衆国に12年以上居住している日本語話者でも、英語母語話者に比べると /r/ と /l/ の区別に困難を抱えていることを明らかにしている。
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