防火責任者らによる避難誘導は行われず
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:45 UTC 版)
「千日デパート火災」の記事における「防火責任者らによる避難誘導は行われず」の解説
支配人をはじめとする従業員らによる組織的かつ迅速で適切な避難誘導はほとんど行われなかった。従業員らによる避難誘導らしきものは、レジ係などが支配人の指示で行った「火事です。落ち着いて行動してください」「ホステスの皆さんは落ち着いてください」という2回の店内放送と、煙が充満したエレベーターホールに殺到した人たちをホールへ押し戻すためにボーイらが発した「こちらには行けない」「下がって」というような制止の言葉、両手を広げて避難者の流れを押し止める手振りだけである。防火管理者であるプレイタウン支配人は、平素より下層階で火災が発生した場合を想定した避難方法や避難経路をまったく考えておらず、客や従業員らに対する避難誘導ができなかった。プレイタウンでは自衛消防組織なるものを作り、防火に対する気構えは見せていたが、それはあくまでもプレイタウン内の火災発生時に迅速に消火活動を行う目的であって、下層階で発生した火災に際して客や従業員らを避難誘導することを念頭に置いたものではなかった。プレイタウンの防火管理者(支配人)は、従業員を対象にした避難訓練をほとんど行っていなかった。火災の前年(1971年)に消火器の使用方法と点検に加えて実施してはいたが、参加者はわずか29人で、全従業員の4分の1にも満たず、訓練の効果は認められなかった。避難訓練の際にプレイタウンやデパートビルの避難設備などに関する正確な情報を避難誘導を行うべき従業員らに与えなかったことにより、誤った情報による避難誘導で物置の中へ逃げた人がいたり、煙が大量に溜まって煙突化していたF階段シャッターを開放したり、救助袋の正しい使用方法を避難者が理解できずに墜落死を招いたりして人的被害を拡大させた。
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