角運動量とエネルギー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 06:20 UTC 版)
月と地球の潮汐の膨らみの間の重力のトルクは、継続的に月を僅かに高い軌道に押し上げ、地球の回転を減速させる。隔離された系の内部では、如何なる物理的プロセスにおいてもエネルギーと角運動量は維持される。この効果として地球の自転のエネルギーと角運動量は月の軌道周回に移動する(とはいえエネルギーの大半 (-3.321 TW) は地球の大洋と個体の地球との摩擦で熱に変わる。僅かに30分の1 (+0.121TW) だけが月に移る)。月は地球から (+38.247±0.004 mm/y) 遠ざかり、その位置エネルギーは(地球のgravity wellにおいて)増加する。それは軌道上にあり、ケプラーの第三法則に則り角速度は減ることになり、潮汐は月の角速度を減じることになる。すなわち、月が地球を巡る角速度の (-25.858±0.003 "/century2) の減速を引き起こす。実際に月の速度は減じており、運動エネルギーが減じる一方で膨大な位置エネルギーが増えている。 地球の角運動量が減少し、その結果として日の長さが延びる。地球上において月によって引き起こされる潮の持ち上がりの総量は、地球の高速回転により月の前方へと引き摺られる。潮汐摩擦は膨らみを月の前方に引き摺リ続けるのに必要だが、地球と月の間で回転と周回エネルギーを交換するよりも過剰なエネルギーを熱として消散している。もしも摩擦や消散がなければ、潮汐の膨らみに働く月の重力は直ぐに(2日以内に)月と同期する位置に引き戻し、月は最早後退することは無くなるだろう。ブリテン諸島周辺のEuropean Shelfやアルゼンチン近辺のPatagonian Shelf、ベーリング海といった浅い海の海底の境界層における擾乱が消散の大半を引き起こす。 潮汐摩擦によるエネルギーの消散は平均約3.75 テラワットであり、うち2.5テラワットは主要なM2 月によるもので、残りは他の要素、月と太陽によるものである。 地球上においては大陸が存在することから数学的な解は適用できず、よって、平衡的な潮汐の膨らみは存在しない。海洋の潮汐は実際には海盆で幾つかのamphidromic_pointを巡る広大な還流となり、潮汐が起きない。地球の自転に伴い月はこれらの個別のうねりに引かれる - 幾つかは月の前にあり、その他のものは後ろや、横の方向にある。この月を引っ張る「膨らみ」(それは月に引っ張られる)は全世界の海の実際のうねりを集積した結果である。大洋の潮汐は1メートルを越えるが、地球の総平衡(または等価な)潮汐は3.23センチメートルに留まる。
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