角度情報
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/26 04:21 UTC 版)
まず水平方向での角度を知る仕組みを説明する。 AZ装置(AZimuth guidance station、水平ガイダンス装置、方位誘導装置)は航空機から見て着陸すべき滑走路の最奥端中央に位置する。電波は滑走路の中央軸を中心に左右方向40度の合計80度の角度で5GHz帯の電波ビームが放射される。縦方向に薄く鋭いこのビームの放射は、装置側から見て右40度から始まり左-40度まで一定速度で走査(スキャン)され、これがTOスキャン(往路走査)である。わずかな時間後に今度は左-40度から右40度まで走査され、これがFROスキャン(復路走査)である。走査の角度とタイミングを厳密に調整しどの装置でも同じように高精度での電波ビームが放射されることで、航空機側では往復2回受信するパルス状の電波信号の時間間隔を計測することで滑走路に対する角度を知ることができる。 AZ装置では滑走路に正対して進入する航空機に、水平方向の角度情報だけが与えられる。これと同様にELとBAZも滑走路に隣接して備えられる。EL装置(ELevation guidance station、垂直ガイダンス装置、高低誘導装置)は滑走路脇に、BAZ装置(Back AZimuth guidance station、後方水平ガイダンス装置、後方方位誘導装置)は滑走路の手前に後ろ向けに設置されている。 AZ装置とBAZ装置では縦ビームが水平方向に振られるのに対して、EL装置では横ビームが上下方向に振られることで角度情報を与える。AZ装置の角度は左右40度ずつの計80度と、20nm(約37km)までを、BAZ装置の角度は左右20度ずつの計40度で、10nm(約18km)までの有効範囲を想定している。AZ装置とBAZ装置のいずれも地上から15度の上向き角度までを覆域にする。 同じ周波数によってこれら3種のビームがほぼ順番に放射され、70ミリ秒ごとに1つの周期が繰り返される。着陸侵入時には水平方向の情報よりも高度情報が安全確保にとってはより重要であるため、EL装置からのビームは1周期内でも頻度が高く繰り返される。
※この「角度情報」の解説は、「マイクロ波着陸装置」の解説の一部です。
「角度情報」を含む「マイクロ波着陸装置」の記事については、「マイクロ波着陸装置」の概要を参照ください。
- 角度情報のページへのリンク