角度の計算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/27 14:19 UTC 版)
「ドット積」、「余弦定理」、および「ベクトルのなす角」も参照 2つの辺のなす角度は、2辺を幾何ベクトルと見なし、2つのベクトルの内積(ないせき、英: inner product)を用いることで計算できる。この方法は言い換えれば、余弦定理を利用して角度を得る方法である。一般の角度を計算するには三角関数の値を求め、その値を逆三角関数に与えることで角度を得る。 それぞれのベクトルを u→, v→ とすると、それらの大きさ |u→|, |v→| は対応する辺の長さを表している。ベクトル u→, v→ の内積 u→ · v→ は、 u → ⋅ v → = | u → | | v → | cos θ {\displaystyle {\vec {u}}\cdot {\vec {v}}=|{\vec {u}}||{\vec {v}}|\cos \theta } と表すことができ、θ は2辺のなす劣角の大きさと見なせる。内積 u→ · v→ およびそれぞれのベクトルの絶対値 |u→|, |v→| が分かっているなら、cos θ を求めることができ、これを利用して角度 θ を得ることができる。 cos θ = u → ⋅ v → | u → | | v → | {\displaystyle \cos \theta ={\frac {{\vec {u}}\cdot {\vec {v}}}{|{\vec {u}}||{\vec {v}}|}}} により、余弦関数 cos θ が得られれば、その逆関数である逆余弦関数を利用して、 arccos ( cos θ ) = θ {\displaystyle \arccos \left(\cos \theta \right)=\theta } より θ が計算できる。つまり、2辺のなす劣角の大きさは以下のように表される。 θ = arccos ( u → ⋅ v → | u → | | v → | ) . {\displaystyle \theta =\arccos \left({\frac {{\vec {u}}\cdot {\vec {v}}}{|{\vec {u}}||{\vec {v}}|}}\right).} また、ベクトル u→, v→ によって作られる三角形を考えると、内積 u→ · v→ はベクトル w→ = u→ − v→ を用いて次のように書き換えられる。 u → ⋅ v → = 1 2 { u → ⋅ u → + v → ⋅ v → − ( u → − v → ) ⋅ ( u → − v → ) } = 1 2 ( | u → | 2 + | v → | 2 − | w → | 2 ) . {\displaystyle {\vec {u}}\cdot {\vec {v}}={\frac {1}{2}}\left\{{\vec {u}}\cdot {\vec {u}}+{\vec {v}}\cdot {\vec {v}}-\left({\vec {u}}-{\vec {v}}\right)\cdot \left({\vec {u}}-{\vec {v}}\right)\right\}={\frac {1}{2}}\left(|{\vec {u}}|^{2}+|{\vec {v}}|^{2}-|{\vec {w}}|^{2}\right).} 従って、3辺の長さが分かっているなら、それらを用いて角度を計算することができる。 θ = arccos ( | u → | 2 + | v → | 2 − | w → | 2 2 | u → | | v → | ) . {\displaystyle \theta =\arccos \left({\frac {|{\vec {u}}|^{2}+|{\vec {v}}|^{2}-|{\vec {w}}|^{2}}{2|{\vec {u}}||{\vec {v}}|}}\right).} 内積 u→ · v→ が 0 の場合については、上述の式から直接角度を求めることはできない。しかし、その場合は一般の場合より簡単に角度を求めることができる。 u → ⋅ v → = 0 {\displaystyle {\vec {u}}\cdot {\vec {v}}=0} より、2つのベクトルの大きさがいずれも 0 でない場合には、 cos θ = 0 {\displaystyle \cos \theta =0} となる。角度 θ を 0 ≤ θ ≤ π の範囲に限れば、この条件を満たす角度は、 θ = π 2 {\displaystyle \theta ={\frac {\pi }{2}}} に限られる。これは、0 でない大きさを持つ2つのベクトルの内積が 0 になる場合、それらが直交していることを示す。ベクトルを図形の辺と見なせば、これは2つの辺のなす角が直角になることに対応する。
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