見世蔵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/18 16:23 UTC 版)
見世蔵(みせぐら)は、江戸時代以降に発展した商家建築の様式の一種で、土蔵の技術を応用したもの。店蔵(たなぐら、みせぐら)とも表記する。土蔵の一種ではあるものの、用途が異なることから、枝分かれするかたちで独自の発展を遂げた。 商品などの保管・貯蔵を目的とした土蔵とは異なり、見世蔵は、店舗兼住宅として使うことを目的として建てられるもので、土蔵とは開口部の作り方や間取り・内装が異なる。 土蔵の場合は、開口部をなるべく小さくし、耐火壁の部分を多く取って、耐火性能を向上させることを重視して設計される。また内部も、保管・収蔵を目的としているため、細かい間取りなどはなされない。対して見世蔵の場合は、店舗・住居として使うことを主目的としているため、耐火性能面では多少の妥協がなされ、商店部分の間口や住居部分の窓などの開口部が設けられている。内部の間取りなども通常の商店建築に準ずる。 土蔵のほか石蔵の様式を採用したもの、明治時代以降には煉瓦蔵の様式を採用したものや漆喰のかわりにモルタルやコンクリートを使ったものなども見られる。 古い宿場町・商都などには漸減しながらもある程度残されており、近年ではトタンを剥がし板張りや漆喰壁にするなど、観光資源としての積極的な利用に転じている事例もある。 明治44年(1911年)当時の「志義町通り(川越市)」中央が大塚屋の綾部薬局 川越市に現存する見世蔵 桔梗屋の店蔵(登録有形文化財〈国登録〉、藤沢市)
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