行政手続における適用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 05:51 UTC 版)
「日本国憲法第31条」の記事における「行政手続における適用」の解説
本条の規定は、行政手続に適用、準用ないし類推適用できるかが問題となる。この点、判例は次のように述べる。 「憲法31条の定める法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続ではないとの理由のみで、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。しかしながら、同条による保障が及ぶと解すべき場合であっても、一般に、行政手続は、刑事手続とその性質においておのずから差異があり、また、行政目的に応じて多種多様であるから、行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないと解するのが相当である。」としている(成田新法事件)。 この判決に対する評価は分かれる。第1文から、行政手続への準用を肯定しているとして好意的に見る見解と、「必ずそのような機会を与えることを必要とするものではない」とした判示から、適正手続の保障が不十分であるという見解がある。 憲法31条は刑事手続に限定されるとし、それ以外の手続きは憲法13条により適正さが要求されるという見解がある。 法律レベルでは、相次ぐ行政手続法の改正などによって、不利益処分や申請に対する応答をはじめとして、命令等の制定時についても、行政手続における適正手続が求められるようになっている。
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