血漿推奨される場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 05:37 UTC 版)
血清には凝固成分は少なくなるが、血小板の細胞成分や代謝物が増加するため、カリウム、無機リン酸、乳酸、アンモニアなどの値が高くなる。こういった成分が血小板などの細胞成分に含まれていて、凝固反応中の血清中へ流出するためである。従って、測定に血清を用いた時と、血漿を用いた時とでは、一部の検査項目で違いが出る。 酸性ホスファターゼ、ニューロン特異性エノラーゼ、ドーパミンやセロトニンなど、血小板に多く含まれている物質は血清では正確な値が出ないことがあるため、このような時には血漿が用いられる。また、以下のような点でも血漿を使うメリットがある。 凝血を待たずとも、遠心分離することで直ちに検体が得られる。(凝結は通常、室温で30分かかる) 血漿の方が血清より約15パーセントから20パーセント検体を多く採取することができる。 血清の場合は分離した後も凝固反応が続くケースがある。 血漿の方が、血清よりもより生体内の状態を把握しやすい。 溶血または血小板破損の度合いが血清より少ない。健常な人の場合、血漿の遊離ヘモグロビン濃度は血清の約10分の1で、それだけ血漿には溶血が少ないと言うことである。血漿では、血小板の破壊による異常な高カリウム値というのはまずありえない。一方、血清では偽高カリウム血症が認められることがある。 その一方で、血漿が血清よりも検査に不都合なこともある。 タンパク質の電気泳動分画像が変化し、フィブリノゲンのピークがγ-グロブリン領域に表れるため、M-タンパク血症の診断ができにくくなる。 血漿と血球成分を分けるための抗凝固剤により、正しい測定ができないことがある。抗凝固剤はキレート剤で、アルカリホスファターゼなどの酵素を不活性化させる可能性が生じるためである。従って、検査で用いる測定方法にEDTA、クエン酸、ヘパリンなどの抗凝固剤がどのような形で影響するのかを、前もって調査しておく必要がある。
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