著作についての評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 05:14 UTC 版)
山室恭子は藤木の著書『豊臣平和令と戦国社会』について、藤木の惣無事令論について秀吉側の正義に信を置きすぎており、大義名分を秀吉の真意と受け取るのは政治史の解釈として無邪気に過ぎると批判し、「喧嘩停止令」の解釈についても裏付けが不足していて迫力に欠けるとする。さらに「刀狩令」の理解については「本書の中においてひと際傑出した部分」で「おそらく従来の教科書説明のすべてに書き換えを迫ることになろう」と評価しつつも、刀狩令にはそもそも法の真意など初めから盛り込まれていなかったと切り捨てている<。また、朝鮮戦役を惣無事令の論理でとらえるのは過激で大きな疑念をはらむものと批判し、秀吉の目指していた平和の中身をそもそも惣無事令の体制として見てよいのかと疑念を呈している。 以上のように山室は『豊臣平和令と戦国社会』の内容に疑問を抱きつつも、本書は「紛れもない名著」であり「ふかい感動に襲われる」と絶賛している。そして中近世「移行期の研究に巨歩を印したこの名著に、もう一度熱い拍手を贈りたい」と称賛と共に書評を締めくくっている。 一方、畑中敏之は、2005年刊行の『刀狩り : 武器を封印した民衆』について、時空をも超越した、あまりにも飛躍した発想・論理とし、無自覚な歴史の改竄と批判している。
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